米ラスベガスで開催中のCES 2020の会場で、Dellが興味深いコンセプトの試作機を複数提案していた。製品化するにしても少し遠そうというものもあるが、実際に手に取って試すことができたのでいくつか紹介したい。個人的には「CONCEPT UFO」と名付けられた携帯ゲーム機型PCが気に入った。
まずは「CONCEPT Ori」。Oriは「折り」ということだろうか、有機EL(OLED)の13型ディスプレイを折り曲げて半分にたためる、いわゆるフォルダブルPCのコンセプトモデルだ。一見すると、特に折り曲げの軸となるヒンジ部分のかたちがLenovoの「ThinkPad X1 Fold」に似ている。これもIntelが発表したフォルダブルPCのリファレンスである「Horseshoe Bend」に関係あるデバイスなのかもしれない。今後のフォルダブルPCのモデル数の増加を予感させるものだった。
もうひとつは「CONCEPT Duet」。回転ヒンジ型2-in-1のノートPCに見えるが、キーボード部分までディスプレイになっているという、台湾メーカーが好きそうなデバイスだ。2枚の13型ディスプレイの手前側を、例えばタッチ操作で入力用すればノートPCライクに使えるし、本を開くように縦に持って大きめの電子ノートのようにも使える。Oriと同じく、利用シーンに応じてフォームファクタが柔軟に変えられるということに価値を見出すものだろう。
そして一番注目したのが「CONCEPT UFO」。見た目はNintendo Switch、中身は最新Intel Coreを搭載したWindows PCという、携帯型のゲーミング"パソコン"だ。画面は8型のWUXGA(1,920×1,200ドット)で、本体の左右にデタッチャブルのワイヤレスコントローラー、本体背面に自立用のキックスタンド、テレビゲーム画面を映して遊ぶ用のドックも完備している。細かい意匠やカラーリングが、同社のゲーミングPC「Alienware」っぽいのだが、このCONCEPT UFO、やっぱりAlienwareのロゴが機器の随所にあしらわれていた。
遊んでみるとPCゲームの動作はスムーズ。目標としてはPCのAAAゲームが遊べることを目指すコンセプトなのだという。コントローラーもスティックやボタンなどに安っぽさがなく、ちゃんと作りこまれているのがわかる。しかしながら、ここまで具体的にデザインされていながらも、製品化はまったくの未定なのだそうだ。
ところでハードウェアの中身としては、少なくとも今回触ったものは「第10世代のIntel Coreを搭載している」とだけしか教えてくれず、Ice Lakeなのか、違うのならGPUはどうしているのかなど、すべて秘密。なお、しばらくゲームをプレイしていたところ、冷却ファンの音がかなり煩くなって色々なところから温風が出てきたり、携帯するにはやや不快なボディの発熱も感じるようになった。現行世代のCPUベースでは、まだハードルは高いのだろうな、という印象だ。
今日のところは、CONCEPT OriとCONCEPT Duet、そしてCONCEPT UFOもすべて「製品化未定のコンセプトモデル」という位置づけ。同社は「コンセプトをみんなに見せて共有することに価値がある」として今回、これらの試作デバイスを披露していた。ただ、クルマメーカーがモーターショーに展示するようなコンセプトモデルとは違い、どれもマーケティング上どうなのかを置いておけば、ハードとしては今年中にも製品になってしまいそうに作られていた。SNSとかで絶賛しておけば、Dellの偉い人の目にとまって製品化が早まる……なんてこともあるかもしれない。