8勝2敗の好成績で折り返し地点を通過

1月5日に奨励会の例会が行われ、西山朋佳三段が2連勝。通算成績を8勝2敗とし、同成績ながらリーグ順位が上の服部慎一郎三段に次いで2番手に付け、昇段圏内に浮上しました。女性が棋士になった例はこれまでになく、史上初の快挙達成に向けて一歩前進です。

三段リーグは半年単位で行われる全18回戦のリーグ戦で、上位2人が四段に昇段するシステム。第66期は30人が参加して棋士を目指して戦っています。その30人の中で女性は西山三段一人だけ。過去を振り返っても三段リーグに参加した女性は西山三段以外には里見香奈女流四冠だけです。

初の女性三段となった里見女流四冠は、2015年10月スタートの第58回から2017年10月スタートの第62回までの5期三段リーグに参加しましたが、勝ち越すことはできませんでした。里見女流四冠は年齢制限である26歳を迎えたため、夢半ばでの退会となってしまいました。

一方の西山三段は第59回から三段リーグに参加。第65回までの7期で2度の勝ち越しを果たしています。余談ですが、第59回は藤井聡太七段もリーグに初参加し、1期で三段リーグを駆け抜けていきました。実は藤井七段の最終局の相手が西山三段で、藤井七段が勝利。もし西山三段が勝っていれば順位の差で藤井七段は昇段を逃しており、デビュー後公式戦29連勝などの大記録は達成されていなかったことになります。

西山三段は「三段」という肩書のほかに「女流三冠」という肩書も有しています。7つある女流棋戦のうち、西山三段のような奨励会員に出場資格があるのはマイナビ女子オープン、女流王座、女流王将の3つだけ。そのすべてのタイトルを手中に収めているのです。

さらに特筆すべきは今年行われた上記3つのタイトル戦すべてで女流棋界の第一人者である里見女流四冠を破ったということ。タイトル戦登場46回のうち、獲得が38期という圧倒的な成績を残している里見女流四冠。タイトル獲得・防衛に失敗したのは8回しかありませんが、そのうちの3回は今年西山三段に喫したものです。

女流棋戦を席巻しつつ、三段リーグでも好成績を収め、初の女性棋士誕生の偉業達成へ大きな期待のかかる西山三段。その戦いに引き続き注目です。

西山朋佳三段