ワコムは1月7日、エントリー向け液晶ペンタブレットの新モデル「Wacom One 液晶ペンタブレット 13」を発表しました。信頼性の高いワコム製液晶ペンタブレットながら、42,900円(税込)というリーズナブルな価格帯。1月16日の発売です。今回は実際に製品を体験できたので、実際の使い心地などをレポートします。
安い、軽い、でも描きやすい、そのうえスマートフォンにも対応
Wacom One 液晶ペンタブレット 13(以下、Wacom One)は名称に「13」とあるように、13.3インチサイズの液晶ペンタブレット。解像度は1,920×1,080ドットのフルHDです。エントリー向けの製品ながら、NTSCカバー率は72%と比較的広い色域をカバーしているのも魅力。さらに、CLIP STUDIO PAINT PROとBamboo Paperプロパックといった、絵やイラストを描く人に人気のお絵かきソフトもバンドル。パソコンを使ったイラストなどをこれから始めるユーザーにもうれしい仕様です。
Wacom Oneを触って最初に感じたのは「とりまわしが非常にラク!」ということ。本体サイズは幅357×奥行き225×高さ14.6mm、重さは1.0kgで、液晶ペンタブレットとしては薄型・軽量。このため、Wacom Oneをパソコンと接続したり、移動させたりという作業がとても楽です。
ノートパソコンユーザーなら、作業する場所にWacom Oneも移動してセットする作業も簡単。デスクトップユーザーも、普段は24インチなどの大きなディスプレイをメインに使って、Wacom Oneはサブディスプレイとして、絵を描くときだけ手元に持ってくるといった使い方も便利でしょう。
パソコンとの接続には付属の専用ケーブルを使います。コネクタは、パソコン側がHDMIとUSB、そして付属のACアダプターに接続する電源部分と、すっきりしています。
専用ペン以外も使える!
Wacom Oneには、標準で4,096レベル筆圧感知に対応する「Wacom One Pen」が付属します。そして面白いのが、サードパーティー製の対応ペンも使えること。
体験会では、三菱鉛筆やステッドラー、ラミーといった、文具好きに人気のメーカーが発売している対応ペンを試せました。メーカーごとにペン軸の太さや形状が異なり、握り心地がかなり違うのがわかります。ペン先の形状や、ペン先までの傾斜の付けかたもメーカーごとに異なり、Wacom Oneにペンを滑らせたときの抵抗感や、ペンの接地面の確認しやすさなども微妙に違います。鉛筆風やボールペン風など、見た目もメーカーによってさまざまなので、自分好みのペンを見つける楽しさがありそうです。
ちなみに、ワコムは2019年1月から比較的低価格な液晶ペンタブレット「Wacom Cintiq」シリーズを発売しています。今回のWacom Oneと、Cintiqシリーズの大きな違いはディスプレイサイズですが、筆圧感知レベルの精細さなど細かな部分にも差があります。ワコムは、「絵が趣味」ではないユーザーにも、パソコンを便利に使うツールとしてWacom Oneを位置づけます。Wacom Cintiqシリーズは趣味で絵を描くアマチュア向け、Wacom Cintiq Proシリーズはプロ向けとしてラインナップするそうです。
「絵描き」じゃなくても魅力的? 文具ライターがWacom Oneを試用
体験会では、フムフムハックの主催者であり文具ライターでもある、やまぐち まきこ氏がゲストに。ワコムの液晶ペンタブレットといえば、プロの漫画家やイラストレーター、アニメーターなども利用する信頼性の高い製品です。今回のWacom Oneは低価格なエントリーモデルということで、「絵描き」ではないやまぐち氏に1週間、Wacom Oneを試用してもらったそうです。
やまぐち氏は仕事で使う写真の加工・補正、SNS用の写真などに、イラストや手描きの説明文字を加えています。それを描き込むために、Wacom Oneを使用したとのこと。もともとワコム製の板タブレット(※)を使用していたそうですが、液晶ペンタブレットは「画面上にペンで描いたように描画できる」ため、これまでだいたい20分はかかってた「写真の補正+手書きの説明」といった作業が、半分以下の時間で行えるようになったといいます。
※:板タブレット
専用の板状デバイス上で専用ペンを動かすことで描画するタイプのタブレット。描画されるディスプレイの位置とペンで作業する位置が異なる
「私はとくにイラストが得意ではないのですが、写真にイラストや手描きの文字で説明をいれることで情報を発信する人の『人となり』が伝わりやすいと感じます」とコメントしたやまぐち氏は、実際の写真の加工例なども紹介。さらに、Wacom Oneが低価格で手に入れやすい価格であることに触れ「Twitterやインスタに写真を載せているといった(絵が趣味ではない)ユーザーにも気軽に使ってみて欲しい」と語りました。