PPS(Programmable Power Supply)は、電力供給時の電圧/電流を小刻みにコントロールする機構で、スマートフォンやモバイルバッテリー、USB-ACアダプタといった製品での採用が開始されています。USB PD 3.0でオプションとして定められた規格であり、利用にはUSB PD 3.0対応製品が必要になります。

一般的にリチウムイオン電池への充電は、まず電流を一定に保ちつつ電圧を漸増させ(定電流充電)、電圧が一定レベルに到達すると電圧を保ちつつ電流を漸減させるように動作します(定電圧充電)。

一方PPS対応製品では、USB-ACアダプタなど給電側がリチウムイオン電池(スマートフォンやモバイルバッテリー)など受電側の状況に応じて電流と電圧を動的に調整できます。高い電圧を供給し受電側で降圧処理する方法では、変換ロスが生じ受電側が発熱するデメリットがありますが、小刻みに電流/電圧を変更できるPPSにはそのようなムダがありません。スマートフォンやモバイルバッテリーが熱くならずに、最短の時間で充電できるのです。

2020年1月現在、PPSに対応する数少ない製品のひとつ「Galaxy Note 10+」は、別売のアクセサリ「45W Travel Adapter」を利用することで、PPSのメリットを享受できます。45W Travel Adapterは3.3Vから21.0Vの間で電圧を上下させることができ、3.3-21.0Vのときは2.1A、3.3-16.0Vのときは2.8A、3.3-11.0Vのときは4.05Aで出力されます。

なお、PPS非対応の製品間でもUSB PDを利用した給電/充電は可能ですが、その場合ベストな性能を発揮できないことがあります。前掲したGalaxy Note 10+の場合、45W Travel AdapterなどのPPS対応充電器と5A対応ケーブルで接続した場合には最大出力(45W)を得られますが、それ以外の充電器やケーブルを利用すると45W以下となります。

  • 「PPS」とは?

    USB PD/PPS対応のアクセサリが増えています(写真はGalaxy Note 10+の別売アクセサリ「45W Travel Adapter」)