CES 2020 公式プレイベント「CES Unveiled」で、アメリカで人気のポータブルオーディオブランド・SHURE(シュア)が気を吐いていました。ブースで展示していたのは、シュア初のノイズキャンセリング(NC)機能を搭載したワイヤレスヘッドホン「AONIC50」と、有線イヤホン「SE215」を完全ワイヤレス化した「AONIC215」の2機種。どちらも2020年春に北米で発売予定で、想定売価はAONIC50が399ドル(約4.3万円)、AONIC215は279ドル(約3万円)を見込んでいます。

  • AONIC50

    シュア初のノイズキャンセリング対応ワイヤレスヘッドホン「AONIC50」

  • AONIC215

    シュア「AONIC215」。リケーブル対応のイヤホン「SE215」をベースに、完全ワイヤレス化できるBluetoothアダプターを組み合わせています

米シュアのイヤホン・プロダクト・マネージャー、ショーン・サリバン氏は「AONIC(エイオニック)」という製品のシリーズ名について「語幹の響きの良さで決めた」と話していました。

  • AONIC50、AONIC215

    NC対応ワイヤレスヘッドホン「AONIC50」(左)と、ワイヤレスイヤホン「AONIC215」

上品なサウンドのヘッドホン「AONIC50」、NC性能も上々

CES Unveiledの展示ではまだ詳しい仕様を確かめることはできませんでした。「サウンドはまだ最終形ではない」(サリバン氏)とのことですが、それぞれのサウンドを聴かせてもらいました。

AONIC50は従来のシュアのヘッドホンよりも全体に落ち着いた上品な雰囲気のサウンドに仕上がっているように感じます。デジタル・ハイブリッド方式によるNC機能の消音性能がとても高く、隣にいて別のジャーナリストに商品を説明するサリバン氏の声がほぼ聞こえなくなるほどでした。

  • AONIC50

    「AONIC50」は大きなイヤーカップを採用したアラウンドイヤースタイル

本体のスイッチでNCのオン/オフ、外音取り込み機能の切り換えができます。外音取り込みの音声にわずかながらマイクのノイズが乗る感触がありましたが、発売までには完成度をもっと高めてくるのではないでしょうか。本体カラーはブラックとブラウンの2色があります。

有線接続に対応し、付属のアナログケーブルの他に、USB Type-Cケーブルを使ったデジタル接続も可能。ヘッドホン内蔵DACで96kHz/24bitのハイレゾ再生が楽しめるようです。

また、専用アプリがAONIC50の発売時までに用意され、NCの効果を3段階、外音取り込みを10段階から設定できるそうです。

SEシリーズのイヤホンを完全ワイヤレス化「AONIC215」

AONIC215は、MMCX対応の有線イヤホンを完全ワイヤレス化できるBluetoothアダプターと、SE215のイヤホン部を組み合わせた製品です。サリバン氏に聞いたところ、「SE846」をはじめ、SEシリーズとの互換性は確保されているようでした。

  • AONIC215

    「AONIC215」を耳掛けスタイルで装着したところ

本体は軽く、耳掛けスタイルのアダプターのフィット感もSE215を装着した状態でとても安定しています。音質はSE215の素性を素直に引き出せていると感じました。サリバン氏は「自社開発のアンプを搭載して有線イヤホンと変わらない、正確でパワフルなサウンドを実現している」と話していました。

Bluetoothアダプターの後方(耳の後ろ側に当たる箇所)の側面は、ボタン式のリモコンになっています。なお、充電ケースのスペースはイヤホンのサイズと形状の制約があるため、大きめのカスタムIEMを装着したままケースに入れるのは難しそうです。

SEシリーズはフォームタイプのイヤーピースを装着すると高い遮音性能が得られるため、NC機能は備えていません。それでもバランスの良い音を優先して追求した姿勢は好感が持てました。日本で試せる日が早く来てほしいですね。

  • AONIC215

    「AONIC215」のBluetoothアダプターの後方(耳の後ろ側に当たる箇所)の側面にリモコンボタンを備えています