クリプトン・フューチャー・メディアは12月25日、歌声合成ソフトウェア「初音ミク」の表現力を強化した新バージョン「初音ミク NT(ニュータイプ)」の特設Webサイトをオープン。ダウンロード製品の予約受付を開始した。購入者には2020年3月中旬にプロトタイプ版を先行して提供し、2020年8月下旬にメジャーリリース版をダウンロード提供する。価格(税込)は19,800円。パッケージ版は2020年夏頃に予約開始予定。
「初音ミク NT」は、特別にカスタマイズされた歌声表現技術、ボイスライブラリー、ソフトウェア・インターフェイス、ボイスエフェクターを組み合わせた初音ミク・パッケージで、同梱されるソフトウェアは以下の通り。既存の「初音ミク V4X」など対象製品ユーザー向けに、優待価格15,400円での販売も行う。
「初音ミク NT」同梱ソフトウェア
- Piapro Studio(ピアプロスタジオ)
- Studio One APE
- PreSonusソフト音源
- MUTANT VSTi版(Windows版のみ)
- SONICWIREボーナスサンプル
ボーカル・エディタ「Piapro Studio」には、新開発の様々な機能を統合。歌詞とメロディを打ち込み、表現スタイルを選択するだけで、歌の方向性をコントロール可能。発声のキレやスタッカート/レガートの具合、ピッチの動き方など、歌い方の基礎を設定できる。
さらに、進化したボイスライブラリーと新開発のボイスエフェクターを組み合わせ、「聞き取りやすさを保ったまま、初音ミクらしく可愛らしい歌声、切ない吐息声から、怒り声やガラガラ声、デスボイスまで表現できる」とする。ワンタッチで装飾発音も導入でき、幅広く歌声をプロデュースできる。
なお、メジャーリリース版の「Piapro Studio」には、スタンドアロン版(Windows/Mac対応)とプラグイン版(AU/VST)が付属。500種類以上の楽器を収録した音楽制作ソフト「Studio One」の特別エディション「Studio One APE」も付属するため、ボーカルトラックから伴奏制作まで、初音ミク NTを購入してすぐに歌作りと音楽作りが楽しめる。
初音ミク NTの日本語ボイスライブラリーは、新開発のリシンセシス技術で作られている。すべての声の素片は、発音の乱れや破綻が無いよう、子音と母音を解析しサウンドを調整。また、声のレイヤーが可変式で、アクセントなどを生々しくコントロールできるという。
ボイスライブラリーには、「ORIGINAL VOICE」として2007年より親しまれている初音ミクらしい声の表情にアップデートを加えたものも用意。その他、複数のボイスライブラリーを提供する予定だ。
新開発のボイスエフェクターにより、多彩なサウンドデザインができる。「Voice Drive」は、声の震え成分をコントロールし、声の勢いや質感を調整するエフェクト。応用プリセットにより、ガラガラ声やデスボイスも表現できる。
声のハリ具合や強さ/弱さの成分をコントロールし、ダイナミックな声の抑揚を作り出す「Voice Voltage」、元の声の個性を保ったままインテリジェントに声質を変えて女性らしい声やチビ声に変調できる「Super Formant Shifter」も搭載する。
2020年3月中旬に先行して提供するプロトタイプ版は、メジャーリリース版の提供前に開発完了した機能群をまとめたバージョンとなり、プロトタイプ版の「Piapro Studio」は上述のスタンドアロン版のみとなる。また、プロトタイプ版に付属するPiapro Studio for NTでは、VOCALOIDトラックの読み込みはできない。