特徴的な棋風を持つ両者の対局は力戦形へ
折田翔吾アマがプロ入りを懸けて戦う「棋士編入試験五番勝負」の第2局が、12月23日に大阪「関西将棋会館」で行われました。
第91期ヒューリック杯棋聖戦(主催:産経新聞社)佐藤康光九段―窪田義行七段が12月24日に東京・将棋会館で行われ、佐藤九段が80手で勝ちました。
将棋には「棋風」と呼ばれる指し手の個性を表した言葉があります。 佐藤九段の棋風は「天衣無縫」と言われるほどに独創的で、今までにない新しい指し手を創案した棋士におくられる升田幸三賞を2度受賞しています。窪田七段の棋風も「窪田ワールド」と言われるほどに独特な棋風です。特に金の使い方が特徴的で、自玉の守りや相手玉を詰ます時によく使われる金を、戦いの最前線で使って相手を押さえ込むような使い方が多く見られます。このような指し方は自玉の守備力が著しく下がるため、アマチュアが真似して勝つことは至難の業といえるでしょう。
本局は特徴的な棋風を持つ両者の対局で、開始6分で定跡の無い激しい力戦になりました。序盤早々、馬を作ってリードを取りたい佐藤九段は角を何度も敵陣へ打ち込みますが、窪田七段も角を何度も打ち返して徹底抗戦。途中、駒損ながら馬作りに成功した佐藤九段は、馬を前線に置いてプレッシャーを掛け、窪田七段は金を打って対抗しました。金で相手の駒をじっくりと押さえ込んでいく展開は窪田七段の望むところでしたが、佐藤九段はすぐに桂馬を跳ねて攻撃を仕掛けました。耐え切れないとみた窪田七段は攻めにシフトチェンジ。しかし、佐藤九段の手厚い指し回しに攻めを切らされて投了となりました。
佐藤九段の次戦の相手は八代弥七段となります。日本将棋連盟会長として忙しい日々を送りながら、プレイヤーとしても第一線で活躍し続ける佐藤九段。
今後の対局にも目が離せません。