副業、リモートワーク、フリーランスなど、新しい働き方に憧れはあるものの、最初の一歩が踏み出せない……そんなあなたにお勧めしたい、求人サイトがある。旅人向けに旅先でできる仕事を紹介している「SAGOJO」だ。
求人の中には、サラリーマンが週末や長期休暇を使ってジョインできるものもあるとか。代表の新拓也さんにサイトの活用法を聞いてみた。
企業からリターンを受け取りながら旅することができる仕組み
――「SAGOJO」では、旅人に対して、旅先での仕事を紹介しているということなのですが、どのようなシステムになっているのでしょうか?
SAGOJOは、仕事の依頼主(企業)・自治体とスキルを持った旅人をマッチングすることで、旅人が企業からリターンを受け取りながら旅をすることができる仕組みを作っています。
例えば、ある地域の情報を紹介するコンテンツが欲しいと企業から依頼があった場合、ライティングのスキルを持った旅人に仕事を依頼し、旅を楽しんでいただきながら、記事をご執筆いただくケースなどがあります。
記事執筆のリターンとして、旅人は依頼主から、報酬、旅のアイテム、宿泊券・割引券などのリターンを受け取ることができます。
――なぜこのような求人サイトを作ろうと思われたのですか??
「旅をすることは、時間やお金を消費する娯楽である」という世間の認識を変え、旅の社会的な価値を伝えたいと思ったからです。
私は学生の頃からバックパッカーとして東南アジアやインドを旅していたのですが、旅に出たことで、自分と違う境遇や価値観の人たちと知り合い、世界が平和であるために自分は何ができるだろうと考えるようになったんですね。
旅をして、旅の中でさまざまな人と知り合う中で、自分本位ではなくて相手の目線で考える想像力が養えるようになったとも自分では感じていて、旅がもっと社会的に役立つもの、価値があるものなんだと証明したくて。
旅をすることでお金が稼げたり、キャリアアップできたりする仕組みを作ることで、より多くの人に旅に関心を持ってもらい、旅人を志す人、旅人を応援しようと思う人が増えたらいいなと思っています。
――お金が稼げると思うと、旅をしてみようと思う人も増えそうですよね
僕たちは、時間がないとかお金がないとか、そういう境遇に関わらず旅ができる環境作りを目指しています。
旅と仕事って相反するものではないなと感じていて。例えばその土地で取材の仕事をすることで、その土地をより深く知れますよね。仕事だけでなく、旅自体としても豊かになるのではないでしょうか。
どんな仕事があるの?
――具体的にはどのような仕事があるんですか?
一番多いのは記事を書く仕事ですが、動画・写真の撮影や、SNSを使ってのPRなどさまざまです。
これまで紹介したお仕事の中には「地域調査」というものもありました。地元の人では気づけない"ソトモノ"の視点で、地域の魅力を探す仕事です。旅人の方には、一定期間その地域に滞在し、町を巡って、地域の新しい見せ方を提案してもらいました。
――初心者でも取り組みやすいお仕事にはどんなものがありますか?
気軽に取り組める、旅行サイト内の口コミを投稿するお仕事が挙げられるかもしれませんね。観光スポットの写真や位置情報、リアルな口コミを投稿いただくことで、1件1,000円ほどの報酬をお渡しした事例もあります。
――依頼側の需要も高いんですか?
WEB業界を中心に、しっかり取材をしてオリジナリティの高いコンテンツを作りましょう、というトレンドがあるので、需要は高まってきていると思いますね。実際、旅をする中で生まれるコンテンツは、クオリティの高いものが多いなと感じます。
地域のお悩み解決で「宿泊無料」という旅の仕方も
――コンテンツ制作のお仕事が多い印象を受けるのですが、ライティングや撮影に自信のない人ができる仕事はないのでしょうか?
今まではコンテンツ制作を中心に、スキルのある人たちを対象として報酬をお支払いする形のお仕事が多かったのですが、今後は「外国人旅行者の旅行ガイド」など、コンテンツ制作以外のスキルを生かせるような仕事を増やしていきたいと考えています。
また、より多くの人にこのサイトを活用していただきたいと思い、今年7月、「TENJIKU」という拠点を全国に作りました。農作業や古民家DIYのお手伝いなど「地域のシゴト」を手伝うことで、宿泊料が無料になるシステムで、現在は奈良県の吉野町、京都府の京丹後市、山口県下関市、和歌山県・熊野地域の4拠点があります。
特別なスキルはないけれど地域を訪れたいと思っている人と、課題を抱えている地域をマッチングすることで、双方にとってメリットがあると考えています。
――実際にスタートしてみてどんな感触を得られていますか?
実はすごく好評で、既に150人以上の方が利用しています。「宿泊代が無料になるから」というよりも、「地域のお手伝いがしたい」という応募理由が多いのが印象的ですね。
お金を払っておもてなしを楽しむ旅も魅力的ですが、地域で一緒に仕事をすることで、地元の人との交流が生まれ、仲間として迎えてもらえることを旅人側も求めていた気がします。旅人の方には、仕事というより体験として、楽しんでもらえているようです。
楽しみながら自由な働き方を模索するきっかけ作りに
――SAGOJOのユーザーの中には、サラリーマンとして働きながら、副業としてお仕事に取り組まれている方も実際にいらっしゃるのでしょうか?
たくさん活用していただいていますよ! 「仕事の募集があるから行ってみようかな」と、旅先を決めるきっかけにしてくださっている方も多いです。
――そういう旅の仕方もあるんですね
楽しみながら、副業の実績を積みたいと思っている方にもお勧めしたいです。
自宅で、1人で、コツコツと行う副業もいいと思うのですが、旅先での副業は、人とのコミュニケーションが前提としてあったり、環境を変えることでいいインスピレーションやインプットが得られたり、本業にも生きる体験ができると思うんですよね。
――働き方を考えるきっかけにもなりそうですね
例えば、「TENJIKU」での体験で、自分のスキルが地域活性化に役立つと知れば、新たな仕事・働き方の可能性が広がるかもしれません。
実際、SAGOJOでのお仕事がきっかけで、ライターとしてのキャリアを歩み始めたり、フリーランスになったり、訪れた土地が気に入って移住を決めたりした方もいらっしゃいます。
旅先でのお仕事が、「この仕事でもなんとか生活していけるかも」「こっちの暮らし方のほうがいいかも」と気づくきっかけの1つになればいいなと思っています。