いまやスマートフォンにおける最重要項目となった「カメラ」は、AI/機械学習を利用した画像補正などソフトウェアの機能向上もあるものの、基本的にはイメージセンサーなどハードウェアの改良により進化を続けています。「手ブレ補正機構」もそのひとつで、搭載する端末が増えています。

デジタルカメラの手ブレ補正は「電子式」と「光学式」に大別されますが、画質の点では光学式が有利です。そして光学式は「レンズシフト方式」と「センサーシフト方式」の2種類に分けることができ、現行のミラーレスカメラ/デジタル一眼レフカメラの多くが、この2方式のうちどちらかを採用しています。

レンズシフト方式は、内蔵のジャイロセンサーで揺れを検知し、それを打ち消す方向にレンズを移動させます。デジタルカメラのレンズは複数枚で構成されていることが多く、その一部を動かし光の屈折を変えれば、手ブレを補正できるのです。ただし、若干画質が劣化するうえ、レンズを微妙に動かす機構の設計は難易度が高く、ボディ小型化の妨げになりかねません。

センサーシフト方式もジャイロセンサーで揺れを検知しますが、レンズではなくイメージセンサーが揺れを打ち消す方向へ移動します。レンズ側に補正用の機構を持たせる必要がなく、レンズシフト方式ほど複雑にならないため、小型化にも役立ちます。

2019年時点でセンサーシフト方式を採用したスマートフォンカメラはほとんどなく、カメラ機能を重視した機種であっても大半がレンズシフト方式を採用しています。とはいえ、スマートフォンにはさらなる小型化/薄型化のニーズが高く、その点で有利なセンサーシフト方式を採用する端末が登場する可能性はありそうです。

  • カメラ機能重視のスマートフォンには、手ブレ補正機構が搭載されています(写真はイメージです)