低価格化が進むドライブレコーダーですが、社会問題となった「あおり運転」の事件を受けて、リアカメラとセットになった高性能モデルを買い求める人が全体の4割を占めるように――。調査会社のBCNが12月23日、このような興味深い調査データを発表しました。より広範囲を撮影できる360度撮影タイプも高価ながら全体の5%ほどを占め、ドライバーの間で「値段の安さよりも安心感」を求める動きが強くなっていることがうかがえます。
BCNがデータの集計を開始した2015年7月の販売台数を100とした調査では、2017年10月に前年同月比の伸び率が約237%と大幅にアップしました。この月、東名高速で発生したあおり運転事故の加害者の逮捕が大きく報道されたことで、ドライバーが一気に購買に走ったと見られます。同様に、前年同期比で151.8%になった2019年8月は、常磐道のあおり運転・殴打事件が報道され、8月から9月にかけて大幅増となりました。
BCNがドライブレコーダーの購入者を対象に実施したアンケートでは、側面や後方が撮影できないことに不満を感じる利用者が多いことが判明。それを受け、同社ではリアカメラが付属するモデルと、1台で360度を撮影できる製品の販売比率を算出しています。
その結果では、リアカメラのセットモデルの比率は右肩上がりとなっており、2019年7月以降はおおむね4割前後で推移するほどになりました。ただ、360度対応モデルの動きは鈍く、2019年11月にようやく5%を超える程度にとどまっています。
この背景には、平均単価が大きく関係しているとBCNの担当者は分析します。現在、ドライブレコーダー全体の平均単価は1万5000円前後ですが、リアカメラセットは2万~2万5000円程度、360度対応モデルは3万円を超えています。一般的なドライブレコーダーの2倍近くする価格が、360度対応モデルの普及を阻んでいるとみています。
しかし、360度対応モデルは車両の前方だけでなく側面や後方、さらに殴打事件で被害状況を克明に記録したように車内の様子が撮影できる特徴があり、今後価格が下がれば一気に普及が進む可能性があります。