公開初日を迎えた映画『仮面ライダー 令和 ザ・ファースト・ジェネレーション』の舞台挨拶が21日、新宿バルト9で行なわれ、『仮面ライダーゼロワン』『仮面ライダージオウ』の主要キャストと、ゲスト出演者の山本耕史、生駒里奈、そして杉原輝昭監督ら13名がそろい、映画にかける意気込みを熱く語った。

  • 上段左から、杉原輝昭監督、渡邊圭祐、大幡しえり、鶴嶋乃愛、井桁弘恵、中川大輔、砂川脩弥、下段左から、押田岳、生駒里奈、奥野壮、高橋文哉、山本耕史、岡田龍太郎

仮面ライダーシリーズ恒例「冬の劇場版」最新作である本作は、「平成」最後の仮面ライダー『ジオウ』と「令和」最初の仮面ライダー『ゼロワン』の共演劇が描かれる。両ヒーローが並び立つ勇姿は、まさに「前時代から新時代へのバトンタッチ」的な意味が込められているという。

仮面ライダーゼロワン/飛電或人は、自分の住む世界が「ヒューマギアが人類を制圧している世界」に変貌していることを知り、驚愕する。さらには「飛電インテリジェンス」社長という或人の地位も、ヒューマギア・ウィルに奪われてしまった。或人は仮面ライダージオウ/常磐ソウゴと仲間たちの協力を得て、歴史改変の痕跡がある「12年前」にタイムトラベル。そこには「仮面ライダー1型」なる兵器を開発し、ヒューマギアを守るために戦う父・飛電其雄の姿があった。歴史改変の影で暗躍するタイムジャッカー・フィーニスの真の狙いとは何か? 世界のゆがみはどうなってしまうのだろうか? そして或人、其雄父子の「夢」の行方とは……?

まずは『仮面ライダーゼロワン』のキャストから紹介が始まった。仮面ライダーゼロワン/飛電或人を演じる高橋文哉。

対ヒューマギア特務機関「A.I.M.S.」隊長の仮面ライダーバルカン/不破諫役の岡田龍太郎。

秘書型ヒューマギアとして或人のサポートを行うイズ役の鶴嶋乃愛。

「A.I.M.S.」の技術顧問を務め、仮面ライダーバルキリーに変身する刃唯阿役の井桁弘恵。

「滅亡迅雷.net」の仮面ライダー迅/迅を演じる中川大輔。

同じく「滅亡迅雷.net」のリーダー各となる仮面ライダー滅/滅(ほろび)を演じる砂川脩弥。

続いて『仮面ライダージオウ』より、仮面ライダージオウ/常磐ソウゴ役の奥野壮。

ソウゴの良き相棒、仮面ライダーゲイツ/明光院ゲイツ役の押田岳。

仮面ライダーツクヨミ/ツクヨミを演じる大幡しえり。

ジオウ/ソウゴを"魔王"と称える仮面ライダーウォズ/ウォズ役の渡邊圭祐。

劇場版ゲストで、テレビシリーズ第1話にも登場していた「或人の父」であり、ヒューマギアでもある飛電其雄を演じた山本耕史は、初日上映を観終わった直後のファンから「其雄さ~ん!」と声が飛んだことを受けて「もうそんな風に呼んでいただけるんですね……」と、自分を役名で呼んでくれたファンに感謝の意を示した。

同じく劇場版ゲスト。仮面ライダーの歴史を改変するタイムジャッカーの「フィーニス」を演じる生駒里奈。

本作のメガホンを取った杉原輝昭監督は、『仮面ライダーゼロワン』のメイン監督として第1、2話も手がけている。

上映終了後に行われた本イベントで、出演者それぞれが映画の公開日を迎えたときの心境がMCの寺迫麿より尋ねられた。

奥野は「キャスト、スタッフ一同が時間をかけて、ひとつひとつのシーンを大切にしながら映画を撮っていましたので、この日を迎えられてほんとうに嬉しいです」と、公開初日をファンと共に心から祝福するコメントを発した。

高橋は「関わった人たちが全身全霊で作り上げた作品。今この瞬間、全国の方々に僕たちの映画が届いていると思うとすごく嬉しく思います」と、スタッフ、キャストすべてが一丸となって作り上げた映画の出来栄えに自信をのぞかせた。

山本は『ゼロワン』出演が発表された際の周囲の反響について「大人ファンからの反響がすごかったですね。いつもは俳優の僕といい意味で距離を保ってくれている保育園の園長先生が、紙に"仮面ライダー見ます"と書いて見せてきた(笑)。そんなに仮面ライダーが好きだったのかと思って、親近感を持ちました。仕事の現場では、三谷幸喜さんから連絡があり『耕史くんは変身するの? ぜひ変身してゼロワンと戦ってほしい』と言われました」と語り、身近な人たちからテレビドラマ界、映画界で活躍する大物まで、仮面ライダーファン層の幅広さを痛感しつつコメントした。

大の仮面ライダーファンであり、本作への出演を至上の喜びと語る生駒は「SNSなどで私のファンの方も喜んでくださいました。また、映画出演の発表があったとき、地元に住んでいる親友から"出るの!? 観る!!"とメールがすぐ来ました。乃木坂46が紅白歌合戦に出場することに決まったとき以来の早さでした!」と、仮面ライダーファンの親友から速攻で祝福の報せがあったことを明かした。

岡田は撮影時のようすをふりかえって「アクションの規模がテレビとは違っていて、ものすごい数の敵と戦ったりします。砂が降ってくるくらいの大爆発シーンがあり、僕の目の前にはもう砂しか見えない。それでも頑張って目を開けながら演技をしたんですが、後でカメラをチェックしたらぜんぶ真っ白で(笑)撮り直しになりました。全体にアクションの尺が長くて、あまりの楽しさにニヤニヤしそうになりながらやっていました」と激しいアクションを楽しみながらこなしたと語った。

井桁は「地下シェルターで避難している人々のシーンが印象に残っています。セットの中に入った瞬間、両脇にたくさんのエキストラの方々がいらっしゃって、病院のベッドがあったり、炊き出しをしていたり、本物のお笑い芸人の方(ハッピー遠藤)がギャグをやっていたり、細かな作りこみがすごいと感じました。世界観が映像になって、みなさんに伝わっていればいいなと思います」と、エキストラの熱き協力によってリアリティのある画面が出来上がったことに感動しつつコメントした。

中川は迅と滅の注目ポイントとして「迅、滅とツクヨミ、ゲイツ、ウォズが戦うところ。『ゼロワン』チームとして『ジオウ』チームと"戦った"のは僕たちだけですから」と対決シーンを挙げ「僕はプログライズキーを投げて変身するんですけど、これを見た渡邊さんがご自分の変身のときにライドウォッチを投げて変身し、真似てくれた」と笑顔で語ると、渡邊が「あの動きがとても良かった。キーをポーンとあげてキャッチして、ねえ!」と中川の変身モーションのカッコ良さを改めて強調した。

砂川もまた、『ジオウ』チームとのアクションシーンに触れて「僕は刀を使ったアクションで押田さんと絡んだんですが、その前にゲイツの"蹴り"を見たんです。その勢いが凄くて、"滅亡迅雷はすごい人間を敵に回しているんだなあ"と思いました」と、押田の蹴り技が力強く決まったときの感想を述べた。押田はこれについて「あの蹴りは相手にガチで"入って"いますね」と、勢いあまって寸止めではなくほんとうに相手の身体に蹴りがヒットしたことを打ち明けた。

映画では、テレビシリーズでもあまりなかった"変身前のアクション"をしっかりと行ったと話す押田は「あまり仮面ライダーっぽくないというか、リアリティを重視したアクションがやれて楽しかった」「アクション監督(渡辺淳)がすごく熱い方で、いつもカメラを回すときには杉原監督から『用意……気をつけて(安全に)……ハイッ!』という声がかかるんですが、その直後にアクション監督に『殺す気でいけ!!』とハッパをかけられる(笑)。たぶんその影響でガチ蹴りしてしまったんじゃないか」と、アクション監督からの熱のこもった指導の影響で、迫真のアクションが生まれたと苦笑しながら語った。

大幡はツクヨミのアクションについて「ふつうの高校生のとき、記憶を取り戻してからと2回"ビンタ"をするシーンがありました。戦っていた記憶を失くしていても、身体に染みついている"何か"を感じたかのように、全力でビンタしました!」と、ふつうの高校生らしさとレジスタンスの女戦士らしさの両方を兼ね備える"ビンタ"アクションをこなしたときの感想を述べた。

渡邊は「これまで『ジオウ』の1年間で"祝い"続けてきましたが、今回の映画では祝えないという……そこが残念でした」と映画での"祝福"シーンの有無についての感想を述べつつ、アクションシーンの感想として「ストールを有効活用して中川くんに巻き付けたり、本を使って戦ったり。生身でのアクションはほとんど初めてだったので、事前に練習をさせていただいて、気合いの入ったシーンでした。もしも僕たちの勢いに圧倒されてよく覚えていない、みたいなことがあったら、ぜひもう一回劇場へ!」と語り、迫力のアクションを何度も観てほしいとファンに笑顔を向けた。

高橋は映画の見どころについて「或人はテレビだと悔しい感情などを表に出さず、笑って見せたりすることが多かったんですが、映画では或人が激しい感情をむき出しにして、相手にぶつけています。ある意味"或人らしくない"状況の中で、どう演じるか強く意識しました。ただデカい声でギャグやってるだけじゃないぞって(笑)いうところをお見せできれば」と語って、テレビとは一味違うシリアスなムードを強調した。

鶴嶋もまた、テレビでは見られない「イズが感情を表す」といった場面を挙げ「感情表現が豊かな或人社長のそばにいるからこそ、ヒューマギアのイズにも感情が出たのかなって思います。あと、ラストシーンは文哉くんといろいろ考えながら演じたので、お気に入りです」と、高橋と共に作り上げたラストでの或人とイズの"やりとり"について、強い手ごたえを感じるようすを見せた。

映画の中でも或人の「ギャグ」シーンがあるのだが、高橋が「あまり面白くないんじゃないですか」とギャグの印象を語ると、すかさず大幡が「すごい面白かった!」と或人ギャグを心から絶賛する場面が見られた。大幡の勢いに圧倒された高橋は「大幡さんはちょっと変わってらっしゃる……笑いのツボが不破諫と一緒(笑)。でも嬉しいですね!」と、『ゼロワン』劇中で唯一或人のギャグにハマる不破諫を例に出しつつ、心の底からギャグを笑ってくれた大幡に感謝の意を示した。

『ジオウ』の1年間をふりかえりつつ、映画の印象的な場面を挙げた奥野は「ソウゴの記憶が戻る場面があるんですが、あそこからのソウゴは世界を"塗り替える"までの記憶をすべて持っている。それこそ、ゲイツを失ったときの記憶もあります。そんな哀しみや怒り、(世界を変えた)希望といったものを含めた、表情やお芝居ができればと思って演じていました」と、今回の映画でソウゴを演じるにあたっての、自身の演技プランを明かした。

今回の映画で「仮面ライダー1型」に変身することが話題となっている山本は「変身ポーズどうしますか?と聞かれて、これって自分で決められるんだ!とまず驚きました。そこで、ゼロワンの高橋くんのポーズを見て、腕の動きを逆にしたらどうかと思って、クロスした腕を外側に回していく動きを考えました」と、変身ポーズを自身で考案したことを明らかにした。さらには「2分くらいずっと変身ポーズやり続けてもいいの?と杉原監督に尋ねると『3秒くらいで』と言われました(笑)。変身のかけ声についても、元気よく言うのか、けっこうな年齢なので抑えて言うのか考えましたが、監督からは『元気よく』と指示があったので、声を張って叫びました」と、変身シーンについて杉原監督からの指導を受けつつ、楽しんで演じたと語った。

また山本は、映画の裏話として「自分の真意を和田さん演じるウィル/アナザーゼロワンに知られた其雄が『なぜ、それを……?』と動揺するシーンがあったんですが、このセリフ、カットしませんか?って言ったんです。僕、其雄(それお)ですからね(笑)」と、真面目なシーンなのにダジャレを言っているように聞こえてしまうセリフについて指摘したことを明かし、笑いを誘った。

高橋は"父親"役の山本と共演したことについて「テレビシリーズのときはご挨拶だけでしたので、山本さんとしっかりお芝居をさせていただいたのは映画が初めてだったんです。最初はすごく緊張していたんですが、お会いすると『おう、おはよう!』なんて気さくに受け入れてくださって、キラキラ輝いていました」と、山本のさわやかな魅力で緊張をほぐしてもらえたとにこやかな笑顔を見せた。

そして山本は、奥野と高橋の"若さ"に触れ「最初にソウゴと或人が並んだシーンを撮っていたんですけど、奥野くんは1年間の撮影ですっかりたくましく成長しているのがわかった。いまの僕たちの年齢だと1年はあっというまの時間だけど、彼らにとっての1年はものすごく長い"経験"なんだなと実感しました」と、成長いちじるしい後輩俳優たちの魅力をしみじみと語っていた。

本作へ参加したことを改めてふりかえった山本は「俳優として経験を積み、慣れれば慣れるほどいろんなことが出来てくるものですが、同時に大切なものを忘れたりすることも多い。この現場にはみんなの愛がこもっていて、だからこそこうやって大勢のファンのみなさんが劇場に来てくれるんだと思いました。とっても"やってよかった"と心から思える仕事でした」と、意欲と情熱をもって撮影にとりくんだ「仮面ライダー」の現場を称えた。

杉原監督は作品にかける意気込みを「平成と令和をつなぐ記念碑的な映画に参加させていただくにあたり、熱量をもって取り組みました。そして、僕が圧倒されるくらいの熱量を持ったキャストさんたちが揃っていて、"この熱量をどうやって映像にしよう"と面食らうところもありました。みんなの思いや、やりたいことがたくさんあって、それを90分に詰め込むという作業がどれだけ大変なのか……うまく行っていればありがたいです!」と熱っぽく語り、仮面ライダーファンに愛される作品になってほしいと願っていた。

仮面ライダー映画のゲストを経験した生駒と山本には、「こんど仮面ライダーシリーズに出演するとしたら、どんな役を演じてみたいか」という質問が投げかけられた。生駒は「今回でフィーニスを演じられたことで十分ですが……もしも次があったらこんどは"変身!"と言ってみたい!」と、さらなる夢をまぶしい笑顔で語った。

山本は「またテレビシリーズに出してほしいと思っています。こんどはイズ役で(笑)」とジョークを飛ばしつつ「これだけ仮面ライダーに関われて、満足です。また何かをやりたいというよりは、飛電其雄という役をこれからも大事にしたい」と、映画ゲストとして大きなウエイトがかけられた飛電其雄という役柄への、強い愛着をうかがわせた。

マスコミ向けフォトセッションの後、最後にマイクを握った奥野は「しっかりとジオウからゼロワンにバトンを渡して、安心してこれからも『ゼロワン』を応援したい。『ジオウ』は終わりますが、仮面ライダーの歴史の一部として、みなさんの心に残り続けてくれたら嬉しいです」とファンに熱いメッセージを贈った。

高橋は「ゼロワン初の映画。ジオウおよび歴代仮面ライダーに関わった方々の思いを受け取りました。本作のテーマは『夢』。スタッフ、キャストみんなが夢をこめて作った映画です。たくさんの思いが詰まったこの映画を、多くの方たちに観ていただきたいと思っています!」と、仮面ライダーへの愛情と熱意の詰まった本作を力強くアピールした。