東急とJR東日本、ジェイアール東日本企画による伊豆半島での観光型MaaSサービス「Izuko」(イズコ)の実証実験「Phase2」が、2019年12月1日から2020年3月10日までの日程で開始された。

  • 伊豆半島の観光型MaaS実証実験「Phase2」の現地取材会が行われた12月10日、伊豆急行の公式キャラクター「いずきゅん」の誕生2周年を記念した謎解きイベント開催に合わせ、「いずきゅん×たぬき探偵ジェリー号」の出発式も行われた

「Izuko」のサイトにアクセスし、サービスの利用に必要な情報を登録すると、鉄道、バスが2日間乗り放題になる「デジタルフリーパス」や、観光施設などをお得な値段で利用できる「デジタルパス」を購入できる。12月10日に現地取材会が行われ、実際に参加して「Izuko」の使い勝手を試したので、その様子をレポートしたい。

■観光型MaaS実証実験「Phase2」の改善点は

伊豆半島での観光型MaaS(マース : さまざまな交通機関等をシームレスに利用するサービス)は、鉄道、バス、AI オンデマンド乗合交通、レンタカー、レンタサイクルといった交通機関をスマートフォンで検索・予約・決済し、目的地までシームレスに移動できる2次交通統合型サービスとして、今年4~6月に実証実験「Phase1」が行われた。

今回は「Phase1」で明らかになった課題の改善を図った「Phase2」の実証実験となる。改善点は多岐にわたるが、とくに大きく改善されたのは次の2点だ。

  • 「Phase2」の実証実験では、「Izuko」がウェブサービスに切り替えられた

  • 伊豆急行の列車内に掲出された中吊り広告のQRコードからも「Izuko」サイトにアクセスできる

まず、「Phase1」では専用アプリ「Izuko」を使ってサービスを提供していたが、「Phase2」では「Izuko」をウェブサービスに切り替えた。つまり、アプリをダウンロードしなくても、ブラウザで「Izuko」のサイトにアクセスするだけでサービスの利用が可能になった。

現地取材会で概要説明を行った東急の都市交通戦略企画グループ課長、森田創氏は、「Izuko」をウェブサービスにした理由について、「『Phase1』の実施時、コールセンターにいただいた問い合わせの半数以上がアプリのダウンロードに関するものでした。また、ご利用いただくお客様のことを考えれば、観光用のアプリは毎日使うわけではないので、電源を消費するアプリをスマホに常駐させておく必要性はなく、我々サービス提供側としても、新たなサービス追加や価格設定の変更等を柔軟に行えるウェブサービスにする利点が大きかったのです」と話す。

  • 黄色の部分が「Phase2」で新たにサービス拡大されたエリア(画像提供 : 東急)

もうひとつの大きな改善点として、サービス提供エリアが大幅に広がったことが挙げられる。とくにJR伊東線の熱海~伊東間がデジタルフリーパスでの乗り放題エリアに加わったことは大きい。

ジェイアール東日本企画の常務取締役営業本部長、高橋敦司氏は、「熱海や伊東には、現状でも多くのお客様に来ていただいていますが、その先の観光地をどのように巡っていただくかが伊豆観光の大きな課題となっています。今回、熱海までエリアが広がったことで、熱海に宿泊いただいているお客様に、『Izuko』を使って伊豆半島を周遊していただくプランの利用を訴求しやすくなったと思います」と述べた。