令和最初のライダー『仮面ライダーゼロワン』と平成最後のライダー『仮面ライダージオウ』が共演を果たす映画『仮面ライダー 令和ザ・ファースト・ジェネレーション』が2019年12月21日より、全国劇場にてロードショー公開される。「平成」と「令和」という2つの時代をつなぐメモリアルな年にふさわしく、時間と空間を飛び越えたゼロワンとジオウが、仮面ライダーの"歴史"をゆるがすほどの巨大な"敵"に戦いを挑む内容が描かれる。

押田岳(おしだ・がく)。1997年生まれ、神奈川県出身。2016年、第29回ジュノン。スーパーボーイ・コンテストでグランプリを受賞。2017年にFODオリジナルドラマ『ぼくは麻理のなか』、2018年に映画『サムライせんせい』に出演したのち、『仮面ライダージオウ』(2018年)の仮面ライダーゲイツ/明光院ゲイツ役で活躍。2020年春に劇場公開されるスピンオフ作品『仮面ライダージオウ NEXT TIME ゲイツ、マジェスティ』では主演を務めている。撮影:大門徹

仮面ライダージオウの仲間であるゲイツ、ツクヨミ、ウォズももちろん映画に登場し、人類の自由を守るため、力を合わせて強敵に向かっていく。ここでは仮面ライダーゲイツ/明光院ゲイツを演じる押田岳に登場していただき、感動的な最終回を迎えた『ジオウ』テレビシリーズを今一度ふりかえっての思いや、映画でのゲイツの注目ポイント、『ジオウ』で培ったさまざまな経験を活かしてさらなる飛躍を目指そうとする意気込みを、熱く語ってもらった。

――『仮面ライダージオウ』の最終回から数か月が経ちました。撮影を迎えた直後の心境はいかがでしたか。

それはもう寂しかったですよ。2018年に『ジオウ』の撮影が始まり、それまで普通に暮らしていた僕や(奥野)壮たちは、いきなりテレビドラマの世界に飛び込みました。めまぐるしく生活が変わり、それに慣れるまで苦労しましたが、慣れてからは、朝みんなで早く起きて、ご飯を食べて、撮影して……と毎日ずっとやってきていましたから、終わってしまうと「この生活が"普通"になっていたのに、もうこれからは普通じゃなくなるのか」という思いになりました。でも、僕を含むレギュラーのみんな(奥野壮、大幡しえり、渡邊圭祐)はこの次にやりたいこと、やるべきことが決まっていましたし、僕たちは『仮面ライダー』をしっかり終えて、次の段階に進もうというスタイルでやっていたので、前向きな気持ちで終わりを迎えられたかな、と思っています。

――『ジオウ』の1年間をふりかえって、今思うのはどんなことでしょう?

最初に『ジオウ』の資料をいただいたとき、「歴代のレジェンド仮面ライダーが次々と来る」というのがコンセプトとして大きく挙げられていました。そんな作品に、芝居経験の少ない者たちがメインで入ると、もしかしたらずっとレジェンドに"食われて"終わってしまうんじゃないか、と不安があったんです。

でも『ジオウ』の最終回を観られたファンのみなさんが「終わって寂しい」「ゲイツに会えなくなるのは辛い」といった感想をくださったことで、ちゃんと『仮面ライダージオウ』という作品が観てくださる方たちの心に残ってくれたんだな、とわかって安堵しました。

――ゲイツを演じる上で、大きな転機を迎えたのはどのあたりになりますか。

大先輩の生瀬(勝久)さんをはじめ、いろいろな方から言葉をいただいて、自分なりのゲイツ像を作るために道を探しつつやっていました。1年の中でいくつかターニングポイントとなる出来事はありましたが、特にインパクトがあったのは田村直己監督が登板されたキバ編(第35、36話)でした。

台本の内容もそれまでやってきたものとはムードがかなり違いましたし、突拍子もない演出が多くて最初は抵抗があったのですが、監督を信じてやってみよう!と思って取り組んでいました。結果、オンエアした後の評判がすごくよくて、ここまでゲイツのキャラに"ふり幅"を持たせても成立するのかとわかってから、僕としてもゲイツをいろいろな角度から見つめ直して、チャレンジをするようになりました。

――最終回の結末は、押田さんとしても納得のいくものになりましたか?

僕は以前から「ゲイツはソウゴを守って"死にたい"」と言っていましたので、そのことをプロデューサーさんや脚本の下山健人さんが汲んでくださったのかな、って思っています。理想的な最期を迎えられて、うれしかったですね。

第1話のときから作り上げてきた僕なりのゲイツのイメージが集約され、あそこだけ観ても思いが伝わってくるような、よいシーンを作ることができたんじゃないかと思います。最終回で変身後の仮面ライダーゲイツを演じているのは、僕なんです。いつもスーツアクターの縄田(雄哉/仮面ライダーゲイツ)さんや高岩(成二/仮面ライダージオウ)さんの表現力を間近で見ていて「すごい!」と思っていたので、最後に演じさせていただきました。

さすがに縄田さんのようには動けませんでしたが、自分のやれる精一杯をやり、ベストを尽くすことができたと思っています。ラストシーンについては、「平成最後」と言いながらも「常磐ソウゴを中心とした『ジオウ』の物語はこれからも形を変えつつ続いていくんだよ」というメッセージが込められた、いい終わり方だなと感じました。ソウゴ、ツクヨミたちと一緒に「普通の高校生」となったゲイツを演じる際には、以前のような「落ち着き」を意識的になくし、ソウゴと一緒にたわむれたりする高校生らしい芝居をしてみました。

――ゲイツのキャラクターソング「FUTURE GUARDIAN」も歌われていますね。ファンが大勢集まるイベントで歌を披露する際、特に意識しているのはどんなことでしょう。

歌については、奥野壮と渡邊圭祐がとても上手くて、歌唱力ではかないません。歌うことは好きなんですけどね。カラオケもよく行きますし、壮と仲良くなったのも2人でカラオケを歌ったのがきっかけでした(笑)。ただ歌うだけでは2人に押されてしまいますから、以前からやっているダンスの特技を活かしつつ、ステージを何度かこなすうちに「このタイミングでこんな"動き"を入れてみよう」みたいに工夫して、パフォーマンスを向上させていくようにしました。

――放送終了後の10月には、初の写真集「岳歩 -がくふ-」も出されていますね。

写真集のお話をいただいてから半年間、体を鍛えて筋肉をつけ、"脱ぎ"のカットに重点を置きました。おかげさまで発売してからは「こんな表情もあるのか」と表情の部分を評価してくださる方の声があり、とてもうれしく思いました。もちろん、筋肉もほめてもらいました(笑)。この1年間、ゲイツをずっと演じて「押田岳はこういうイメージ」というのがついてきた中で、まったく別のイメージのビジュアルを発表することができて、今後への自信につながりました。