吉本興業は20日、反社会的勢力との闇営業問題に端を発した一連の騒動を受けて設置した「経営アドバイザリー委員会」の中間取りまとめ報告を、東京・新宿の同社東京本部にて開催。座長を務める国際医療福祉大学教授の川上和久氏が、直営業ルールの設定を発表した。

  • 「経営アドバイザリー委員会」座長の川上和久氏

同委員会は、経営にかかる懸案事項について専門的知見からの助言・アドバイスを受け、社内改革を進めていくというもので、(1)反社会的勢力の完全排除のために何を実行するべきか、(2)所属タレントらとの契約に関して、(3)コンプライアンス体制の検討とあり方、(4)コーポレート・ガバナンスのあり方、の4つのテーマについて審議。8月8日の第1回からこれまでに4回開催され、当面のものとして委員の意見が集約されたことから、中間取りまとめが行われた。

反社会的勢力の完全排除に関して、すべての新規取引先を対象に属性調査を実施していることを確認したという。だが、タレントが吉本を通さず直接取引先とやりとりをして仕事をとってくる直営業については、事前に吉本がその取引先の情報を把握することができず、属性調査を行うことができないことから、反社会的勢力と意図しない接触の可能性が生じる。また、先方から報酬についてタレント自身で適正に税務申告されないことも可能性として想定される。この2点を解消するために、直営業ルールが新たに設けられた。

その直営業ルールは、(1)直営業の依頼があった場合、報酬の有無にかかわらず、吉本に事前に連絡する、(2)吉本は相手方の属性調査を行い、問題なければタレントが稼働する、(3)稼働の対価としての報酬は、吉本を通じてタレントに支払われる、というもの。

委員会はこのルールについて、「反社会的勢力との接触や脱税の可能性を解消するために、吉本への報告を義務付け、吉本による属性調査の実施、報酬については吉本を通すというルールとするものであり、合理的なルールと評価できる」と評価。

その一方で、「現状の属性調査は外部データ会社への照会も含むため日数がかかる。そのため直営業の報告があったとしても、稼働日までに時間的余裕がなく、調査が完了しない場合が想定される。このような突発的な直営業依頼があった際に、それを認めるのか認めないのか、認めた場合に事後的に属性調査で不審情報が判明した場合の対応方法も明確にルール化する必要がある。また、直営業ルールに違反した場合の処理も検討が必要である」と残る課題も指摘し、「違反に対するペナルティも含めたルールを明確にし、タレントへ十分に周知した上で、運用を徹底していくことが求められる」とした。