ASUSは同社のゲーミングブランド「TUF Gaming」から、初の液晶ディスプレイを発売した。31.5インチ曲面の「TUF GAMING VG32VQ」と27インチの「TUF GAMING VG27AQ」の2種類だ。どちらも、画面のブレやチラつきを軽減する独自のExtreme Low Motion Blur Sync(ELMB SYNC)技術を採用するなど、ゲームを快適にプレイするための機能が詰まっているのが特徴だが、今回は「TUF GAMING VG27AQ」のレビューをお届けする。
「TUF GAMING VG27AQ」は、27インチで解像度がWQHD(2,560x1,440ドット)のゲーミング液晶だ。Adaptive-sync(G-SYNC Compatible、FreeSync)に対応、165Hzの高速リフレッシュレート、HDR10サポート、1msの高速応答などゲーミング液晶らしい機能がそろっている。
ディスプレイとしての使いやすさも魅力だ。スタンドは高さ調整(0~130mm)、チルト(上33度、下5度)、スウィーベル(左右90度)、ピボット(縦回転)まで備える高機能。さらにスタンド下部にはケーブルを通してまとめられる穴まで用意されている。机の高さや光の加減に合わせて微調整できるのは非常に便利だ。
また、応答速度が1msなのTNパネルかと思ったが、IPSパネルを採用。そのためsRGB 99%という広色域に対応し、鮮やかな発色が可能なのに加え、視野角は水平178度、垂直178度とどの角度から見ても色の変化が少ない。また、2W+2Wのステレオスピーカーも内蔵する。ゲームをプレイするときはヘッドセットを使う人が多いとは思うが、だらだら動画を見たいときなどは、とりあえずスピーカーがあるとありがたい。
OSDメニューは右隅の背面にあるボタンで呼び出しと操作が可能だ。ゲーム関連の機能はあらかじめ用意されているホットキーですぐ呼び出せるようになっている。ゲームジャンルごとの画像モードが用意されているほか、ブルーライトカット機能も備えている。
独自機能の目玉と言えるのが「ELMB SYNC」だ。これはモーションブラー(画面ブレ)を軽減するELMB機能とビデオカードとディスプレイのリフレッシュレートを同期させてティアリング(画面のちぎれ)を回避するAdaptive-syncとの同時使用を可能にするというもの。ゲームプレイ中に気になるチラつきを最小限にできるのが強みだ。
ただし、ELMB SYNCが使えるのはリフレッシュレート155Hzまで。これはAdaptive-syncがDisplayPort接続時で155Hzまでの対応であるため(HDMI接続時は144Hzまで)。165Hzの滑らかな動きを優先するか、ELMB SYNCでチラつきを抑えるのを優先するかは好み次第と言えるだろう。ただ、165Hzの滑らかさを味わうためには、ゲームで165fps以上のフレームレートが出る必要がある。ゲームにもよるが、そこまでのフレームレートを出すにはかなりのハイスペックなPCが必要だ。そのため、ELMB SYNCを使ったほうが、ゲームプレイには有効ではないだろうか。
なお、リフレッシュレート165Hzを設定するにはOSDメニューでOver Clockingをオンにする必要がある。Windows側のリフレッシュレート設定も165Hzにする必要があることを忘れてはならない。また、間違えやすいのが「G-SYNC Compatible」サポートであること。G-SYNC CompatibleはNVIDIAがG-SYNCと一定の互換性があることを認定するというもの。G-SYNCそのものに対応しているわけではない。ただ、実用上の問題はないのでユーザーはあまり気にする必要はないだろう。
このほか、HDR 10と互換性があり、HDR対応ゲームならより鮮やかでメリハリのある映像が楽しめる。暗い部分をハッキリとさせて、敵や地形などを認識しやすくする「Shadow Boost」という技術も搭載している。
入力インターフェースはHDMI 2.0×2、DisplayPort 1.2×1という3系統。PCはDisplayPort、ゲーム機はHDMIにつないで楽しむのもいいだろう。ヘッドホン出力も備えている。
ゲーミング液晶として多彩な機能を備えながら、IPSパネルの採用によって鮮やかな発色も実現。高機能なスタンドによって普段使いのディスプレイとしても便利だ。27インチの液晶としては安くはないが、スペックを考えるとコストパフォーマンスは十分高い。ゲームにも普段の使用にも快適なディスプレイを求めている人にオススメしたい1台だ。