新京成電鉄は9日、同社にとって14年ぶりという新形式車両80000形の報道公開を実施した。京成グループ標準車両として、京成電鉄と共同で設計され、6両編成を1編成導入。12月27日から松戸~京成津田沼間で営業運転を開始する。
新型車両80000形は「モハ80001」(Mc1)、「モハ80002」(M2)、「サハ80003」(T3)、「サハ80004」(T4)、「モハ80005」(M5)、「モハ80006」(Mc6)の6両編成。定員は先頭車122名(座席43名・立席79名)・中間車133名(座席49名・立席84名)、編成全体で776名となる。設計最高速度は120km/h。運転最高速度は85km/h(新京成線)・95km/h(京成線)。加速度は3.5km/h/s、減速度は4.0km/h/s(常用)・4.5km/h/s(非常)とされた。
今回公開された編成(80011~80016)は日本車両が製造。京成電鉄の新型車両3100形と同様、「~受け継ぐ伝統と新たな価値の創造~」をコンセプトに設計された。新京成電鉄が積極的に採用し続けた先進的な技術を核としつつ、さらなる安全性、快適性、バリアフリー機能の向上につながる設備や最新の省エネ機器を導入している。
外観は質実さ、実用本位を基本とした上で、丸みを帯びた形状とすることにより、やわらかさを醸し出したデザインとなっている。車体下部に加え、新たに車体上部のラインにも新京成電鉄のコーポレートカラーであるジェントルピンクを取り入れ、高架区間などを走行する際も周囲からジェントルピンクが見えるようにした。車体側面の行先表示器を大型化して視認性を向上させたほか、案内拡充のため、車体前面・側面の行先表示器に駅ナンバリングの表示を追加している。
車内はオールロングシートの座席配置で、既存のN800形より背もたれを175mm高くしたハイバックシートを採用するなど、座り心地を向上させるための改良を行っている。車内空間に開放感を持たせるため、座席端部の袖仕切りと車両間の貫通扉にガラスを取り入れた。貫通扉のガラス部分やカーテンに梨とぶどうのイラストをあしらい、ドア横には新京成電鉄の伝統ともいえる鏡を設置。すべてのドア上に17インチLCD(液晶)車内案内表示器を2画面配置し、きめ細かい案内表示や異常時の情報提供を4カ国語で表示することにより、情報提供機能の拡充を図る。
中間車には車いす・ベビーカー利用者や手荷物の多い利用者に配慮したフリースペース、先頭車には従来と同等の車いすスペースが設置された。車内環境の改善も図り、空調制御ソフトの見直しによる空調機能の向上に加え、空気を浄化する効果のあるプラズマクラスターイオン発生装置を全車両に搭載している。車内における犯罪の抑止や事件発生時の早期解決、テロ警戒の強化などが求められている背景に鑑み、安全性向上のため車内防犯カメラを1両あたり3台設置。曲線の多い新京成線の路線条件を考慮し、リアルタイムで騒音に追従して音量調整を行う放送装置も搭載したという。
運転台はタッチパネル式モニタ装置を採用。ブレーキ段数は従来の5段から7段となり、行先表示器や放送装置は自動で制御されるようになっている。床下機器等にも最新技術を導入して省エネ化を図り、モーターへの電流を制御する部品に最新の半導体を使用したフルSiC-VVVF制御装置を搭載。既存のN800形に搭載しているIGBT-VVVF制御装置との比較で、消費電力を19%削減するという。
新型車両80000形は12月27日から運行開始。当日のダイヤはまだ決まっていないものの、くぬぎ山駅始発の列車から営業運転に入るという。導入直後の80000形は新京成線の松戸~京成津田沼間で運行され、時期は明かされなかったが、将来的に京成千葉線へ直通運転も行う予定。新型車両の導入にともない1編成が廃車となる。なお、80000形の製作協力会社として、日本車両の他に総合車両製作所の名も。間もなくデビューする1編成に続き、今後も順次、80000形の導入を進めていくとのことだった。
営業運転開始に先立ち、12月21日に新型車両80000形の一般向け試乗会が開催される(募集期間は終了)。当日は新型車両80000形がくぬぎ山~新津田沼間を1往復し、往路・復路の2回に分けて計400名(各回200名)を無料で招待。参加者には試乗会限定のノベルティグッズや車両紹介のパンフレットが配布される。