開催が間近に迫る「第2回全国高校eスポーツ選手権」の決勝大会。『ロケットリーグ』部門と『リーグ・オブ・レジェンド(LoL)』部門において、予選大会を勝ち抜いた4チームずつ計8チームが、2019年12月28日、29日に行われる決勝大会で日本一の座をかけて争います。
早くも高校生のeスポーツイベントとして定着した印象の「全国高校eスポーツ選手権」ですが、大会自体はまだ2回目。運営面でも慣れない部分があるのではないでしょうか。
そこで、決勝大会を前に、大会プロデューサーを担当したサードウェーブ マーケティング統括本部 eスポーツプロモーション課 課長の佐藤和昭氏に、高校生のeスポーツ大会を運営するうえで意識することや今後の展開などを聞きました。
――全国高校eスポーツ選手権は今回で2回目ですが、大会を運営するにあたって意識されたことはありますか。
佐藤和昭氏(以下、佐藤):全国高校eスポーツ選手権のテーマは第1回から変わらず、「高校生のためのeスポーツ大会」。選手ファーストを大事に、高校生を中心とした大会運営を心がけています。
また、観ている方に対してのわかりやすさも意識しています。第1回のときも『LoL』や『ロケットリーグ』を知らない方が多いこと、eスポーツに詳しくない方が多いことは理解していたので、できるだけわかりやすい解説を心がけたつもりだったのですが、それでもまだ「難しい」と感じる方がいらっしゃいました。なので、第2回では、もっとわかりやすくして、多くの方におもしろさを伝えられるように、力を入れているところです。
特に、出場選手を通して、eスポーツを知ったご両親やご親族が観てもわかるように、前回よりも3倍わかりやすくしようと思っています。具体的には、試合前にまずゲームの紹介動画を流し、試合後にはリプレイ映像を使いながらアナリストに丁寧に解説していただきます。将棋でいうところの「大盤解説」と「感想戦」を用意したイメージですね。
――第1回の決勝大会は3月の開催で、勝ち進んだチームの3年生にとっては、受験シーズンと重なって負担がかかるうえ、卒業後に決勝が行われるスケジュールでした。第2回が12月開催なのはそれらを意識して変更されたのでしょうか。
佐藤:そうですね、どの時期に実施すればいいかはずっと考えていました。今回は、開催時期の見直しをすべく、さまざまな高校へヒアリングを行い、高校生に負担をかけないスケジュールを考えた結果、決勝大会を12月に開催することに決めました。
――手探りでスタートした第1回と比べて、認知度が高まった第2回では周囲の反応や評価も変わってくると思います。実際にどんな変化があったか教えてください。
佐藤:まず、わかりやすい点としては、出場校が増えましたね。高校生はもちろん、その周囲にいる人たちの理解度も格段に上がっており、弊社が行っている「eスポーツ部 発足支援プログラム」の申し込みも増えました。また、出場校数が増えただけでなく、1校あたりの参加チームも増加。eスポーツが部活として成立してきていることを感じます。
――全国高校eスポーツ選手権を主催し、eスポーツ部発足支援プログラムを実施することで、サードウェーブとしてはどのような影響があったのでしょうか。
佐藤:高校生の親御さんからゲーミングPCの問い合わせが増えている話を、販売担当からは聞いています。決してサードウェーブの販売促進として全国高校eスポーツ選手権を開催しているわけではありませんが、サードウェーブの本業にもプラスに働いているとは思います。
あとは、個人的な話ですが、高校生の子どもがいる親戚から、ゲーミングPCについての相談を受けました。まさか、親族からゲーミングPCという言葉が発せられるとは思っていなかったので、世の中にゲーミングPC、eスポーツが浸透しつつあることを実感しましたね。ゲーミングPCは多くの若者にリーチしていますので、その親戚や周囲の人にも、影響が出ているのでしょう。
――第2回で扱われるタイトルは第1回と同じでしたが、今後タイトルの変更はあるのでしょうか。
佐藤:現在は『ロケットリーグ』と『LoL』の2タイトル。これは主催者である我々がさまざまな観点から調査して決定したタイトルですので、高校生の総意ではないかもしれません。eスポーツの多様性や高校生が望むタイトルで大会を開催する意味でも、これから議論していく必要はあると思います。
――最後に、今後の全国高校eスポーツ選手権についてお聞かせください。
佐藤:具体的な話はこれからになりますが、理念としては、今後も選手ファーストの意識を大事に、高校生たちが輝ける大会にしていきたいと思います。出場した高校生に「大会に出てよかった」と言ってもらえるものにしたいですね。
――ありがとうございました。