文化放送・DeNA・創通・毎日放送の4社が共同でオリジナルアニメ作品を創出する原作公募プロジェクト「Project ANIMA」。その第一弾となるSF・ロボットアニメ部門受賞作『Sacks&Guns!!(サクガン!!)』のアニメヒロイン役声優オーディション最終審査会が12月8日、東京・文化放送メディアプラスホールにて行われた。
審査員は文化放送の常務取締役・片寄好之氏、DeNAの「Project ANIMA」総合プロデューサー・上町裕介氏、東北新社の音響監督・木村絵理子氏、サテライトの代表取締役社長・佐藤道明氏、創通の代表取締役社長・難波秀行氏、青二プロダクションの営業制作本部 営業制作部 部長・原道太郎氏、毎日放送のプロデューサー・丸山博雄氏、アニメ『Sacks&Guns!!』の監督・和田純一氏(※)。
(※)今回の公開オーディション生放送に出演したのは、上町氏、片寄氏、木村氏、原氏、和田氏の5名
また特別審査員として、「Project ANIMA」アンバサダーでもある声優の緑川光、プロジェクトの進捗なども伝えるラジオ番組『真夜中のラジオ文芸部』のパーソナリティでもある声優の豊永利行も駆け付けた。なお、司会はアナウンサーの松澤千晶氏が務めた。
今回行われる審査会は、「Project ANIMA」の原案公募コンテストで選出され、サテライトによるテレビアニメ化が決定した作品『Sacks&Guns!!』のヒロイン・メメンプー役声優オーディションの最終審査会。プロ・アマ含め約1,400名(プロ:約300名、一般:約1,100名)の応募者の中から一次審査を通過した20名が、10月の一般ユーザーによるWEB投票を経て、7名に絞り込まれた。
審査会は定刻通りにスタート。荘厳な空気のなか、まずは審査員の紹介とプロジェクト発足の経緯などについての説明が行われた。本プロジェクトと審査会について、上町氏は「2020年代を代表する作品を作っていこうという想いで発足しています。そのなかでキャラクターに命を吹き込む声優を広く募集して2020年代を代表する声優さんを生み出そうということで今回審査会を行いました」とコメント。
また、1,400人もの応募者が集まったオーディションについて片寄氏は「大変な数字だと思う。プロも300人応募していただいて。予選オーディションも大変だったと思う。そのなかで選ばれた7人である」と期待を寄せる言葉を残した。
さらに、『Sacks&Guns!!』に出演も決まっている緑川は「普段は使われる側なのでここにいいのかなと(笑)。ただ、せっかくなので、ハートを忘れずに見ていければと思います」と冒頭で豊永とハートを作った理由と絡めつつ、意気込みを語る。
続く豊永は「今日の審査員を見て、だいたいの方はお察しかと思いますが……。豊永はにぎやかし役なんだろうなと。そう思っていただけたら嬉しい(笑)」と笑いを誘いつつ、自身がプレイヤーに近い立場でもあることから「一プレイヤーとしては気持ちも分かるので、少しでもリラックスしてもらえれば。それが僕の役目かなと思っています」と、共演者としてエールを送った。
オーディションが始まる前には、本オーディションのポイントについて触れる一幕も。木村氏は「今日の時点では完璧は求めていない。原石と出会いたい」と言葉にしつつ、「(メメンプーは)とにかく意思が強くてなかなか曲げない。(メメンプーの)9歳という年齢を意識するよりも、まずは、この辺のキャラクター性を意識して欲しい。最後に子どもというところでやって欲しいなと思います。キャラクターの重要性を念頭に置いて演じてもらえれば」と審査ポイントについて触れる。また、原氏は「必ず9歳は経験したことがあるはず。その記憶をたどりながらノビノビと自然にやっていただくのがいいのでは」と呼びかけた。
続いて、今回のオーディション方法について説明。オーディションは6種のセリフを言ったあと、リンダ役を演じる津田美波と掛け合い、最後に審査員からの質疑応答を行うというもの。掛け合いの相手となった津田は「何人もの方と掛け合いするのは珍しいこと。役得ととらえて自分も楽しく演じられればと思います」と言葉にしていた。
その後、公開オーディションがスタート。セリフを忘れたり、各審査員からさまざまなリクエストがあったりするなか、それぞれが懸命にオーディションに臨む。緊張した面持ちながらもその必死な姿から「この役を掴みたい!」という気概を感じられた。
オーディション後には、緑川が「僕のなかでは、声は戦う武器という捉え方をしている」と自身の考えを提示しつつ、「掛け合うときにその武器は知らない、そんな仕掛けがあるのか、と考えている。いま(オーディションのなかで)客観的にお手合わせしたいなという方がいらっしゃいました」と熱弁。続けて、「掛け合う相手によって、練習していたもの以上のものが出せる。相手のおかげで成長してきた。若い方で経験が少なくてもいいものを持っている方はいる。色々と知らない武器を持っていらっしゃる方がいたので楽しかったです」と、演じる側の目線からの言葉を残した。
また、豊永も演者としての目線から審査を行ったことに触れ、「この人と一緒にお芝居したらうずっとなるかなぁみたいな見方をさせていただきました。自分も勉強になる時間でした」と、率直な感想を言葉にした。
「場つなぎレディオ!」と題されたラジオ番組『真夜中のラジオ文芸部』の特番配信を間に挟み、いよいよ審査結果の発表。今回は審査員のなかでも票が割れたオーディションになったとのことだが、最終的に選ばれたのは、エントリーナンバー4の小畑かのん。監督の和田氏より台本を贈呈された小畑は「頭が真っ白です。すごく嬉しい……。重なる部分がある子なので一緒に成長していけたらいいなと思います」と感無量な様子。なお、小畑はフリーで活動していたため、今後は青二プロダクション所属の声優として活動していくことも同時に決定した。
小畑が選ばれた理由について、木村氏は「声を作らずに地声でストレートにやったのがよかったのでは」と評価。また、和田氏も「素の感じがすごく可愛かったので、これからキャラクターを一緒に作っていきましょう」と呼びかけた。また、この場で事務所の先輩となった緑川は「一緒に戦いましょう」「いい刺激ですね。若い方からも学ぶことがあります」とコメント。
続く豊永は「(今後共演する際は)あのとき、めっちゃ審査してたやんという顔で僕の顔を見ないでください(笑)。同じ共演者として仲良くしていただければと思います」と笑いを誘いつつ、「拮抗した審査だったので、今回、惜しくも機会を逃してしまった6名の方も、ここまできたことは自信にもっていいことだと思います。これからも頑張ってください」と、最後まで声優の仲間としてエールを送った。
審査会の最後には、上町氏が「たくさんの方に応募いただき、ありがとうございます。まだまだ面白い才能、知らない才能があるんだなと実感させられたオーディションでした」と、オーディションの総評と併せて感謝を言葉にする。そして、「こういった素晴らしい才能を輝ける舞台を作っていくのがプロジェクトの使命だと思っていますので、これからも末永くよろしくお願いします」と、意気込みを語り、審査会を締めくくった。
『Sacks&Guns!!』は、遠い未来、岩盤に隔てられた「コロニー」で肩を寄せ合って生きる人類の姿を描いた作品。コロニーの外には危険な未開地帯「ラビリンス」が広がり、命を懸けて「ラビリンス」を開拓する者たちは、未開に印付ける者、すなわち「マーカー」と呼ばれている。そんなマーカーになりたい少女・メメンプーとマーカーをやめた男・ガガンバーの凸凹な父娘がラビリンスに挑む、という物語である。アニメは2021年夏ごろの放送を予定。