自らの最期を決しようとした少年と、ある少女との"交流"を描いた短編漫画「変わりものの彼女にもう少しだけつきあう話」がツイートされ、注目が集まっている。作者はTwitterなどで漫画作品を発表している矢村いちさん。予想を裏切る優しい展開の物語で好評を得ている。
変わりものの彼女にもう少しだけつきあう話 pic.twitter.com/gTsgeTXU6y
— 矢村いち (@yamuraichi) November 23, 2019
森の中、キャンプ姿で一眼レフを持った少女が、少年に告げる。「ちょっとそこどいてほしい」。少年は設けた足場に立って、樹にぶら下げたロープに手を付けている。呆然とした顔で「…え」と言葉が漏れ出る。「人生はクソだ」。思い出されるのは、いじめられた記憶と、それを「遊びの延長」という言葉で済まそうとする教師の様子。
それを話すと、少女は「へーそうだったの。でもあそこ写真に映り込むから少し待って」とあっけらかんと告げる。廃墟を撮りたかったらしい。「…何でこんな場所を」と問いかけながら、「なぜこんな状況に…」と少年は正気に戻っていってしまう。少女は「こーゆう場所写真撮って旅するのが好きなのよ」と優しそうに微笑む。
「でも女性の一人旅って危険じゃないですか?」と自然とツッコんでしまう少年。それに少女は「今から死ぬのに人の心配?」と吹き出してしまう。「ならさ」と話を変え、「君、死ぬ前に少し私と一緒に来なさい。ボディーガードってね。死ぬ前に旅なんて粋でしょ」とニンマリ。押しに弱い少年は驚きながらも「少しだけ」「少しだけ」と彼女に同行していく。
木々の間に太陽を見たり、寝袋で横になって寝たり。数日経ったところで、少女は「一旦解散だけど次の場所は絶対見るべき!」「3日後に集合ね! 絶対!」と少年に命じる。「あと少し」…とだけ、少年は生きながらえて、帰宅し家族と再会。3日後、少女との待ち合わせの場所に向かう。そこで彼女は笑って待っている。さらに時間は経っていき、少年は父親になり少女は母親になっている。傍らには「パパ! 聞いて聞いて!」と嬉しそうに"父"に話しかける娘の姿が。そうして、「もう少しだけ」は続いていく…。
リプライには、「泣かせてくるなぁ…」「本当の意味で寄り添ってくれる人がいてくれる幸せ大切ですね」「この先も『もう少しだけ』と、末永く一緒にいて頂きたい」「『もう少しだけ』それは、奇跡を呼び起こす魔法にも近い何か、かも知れない…」と感慨に浸るコメントが。「これがいわゆる運命の出会いってやつか」「きっとみんな、こうでありたかっただけなんだ」「出会いで人が傷つくのなら、出会いで人が救われることもある」「捨てる神あれば拾う神ありって奴…ですかね」という意見も見られた。
この短編の作者は、Twitterなどで漫画作品を発表している矢村いちさん。10月から11月にも「部活で一緒の淡々としてる女の子の話」「新学期が不安なパシリ君の話」などの作品を公開し、注目を集めている。