富士通は、理化学研究所と共同で開発したスーパーコンピュータ「富岳」の出荷を12月2日に開始したと発表した。

  • 梱包され出荷を待つ富岳のコンピューターラック

    梱包され出荷を待つ富岳のコンピューターラック

富岳は、Armアーキテクチャーを採用して開発された高性能CPU「A64FX」15万個以上を、高速ネットワーク「TofuインターコネクトD」で接続して構成する大規模スパコン。今回出荷された第一号機は、この「富岳」を成すコンピュータラックのひとつだ。製造を担当する富士通ITプロダクツ(石川県かほく市)から、兵庫県神戸市にある理研の計算科学研究センターに向け出荷された。出荷は順次、今後も続けていく。

富岳は文部科学省が2021年から2022年頃の共用開始を目指し推進しており、スパコン「京」と比較し、最大で100倍のアプリケーション実効性能を、約3倍程度の消費電力で実現することを目指し、開発されている。今年の11月には、富岳のプロトタイプが「Green500」(消費電力性能を評価するスパコンランキング)で世界1位を獲得した。

富岳はベンチマークスコアによる性能競争よりも、実際に役立つ実用性能を重視したスパコンと言われている。富士通は富岳の開発を通じ「スーパーコンピューティング技術を活用した新薬の開発、防災・減災などの安心安全な社会の実現など、社会的課題の解決や最先端研究の推進と、DX分野への応用、産業競争力の強化に貢献していく」と述べている。