本田四段は挑戦者決定二番勝負に出場決定。タイトル挑戦まであと1勝!
12月2日に東京「将棋会館」で、第45期棋王戦挑戦者決定トーナメント決勝(主催:共同通信社)広瀬章人竜王―本田奎四段戦が行われました。
勝ったほうが挑戦権獲得にぐっと近づく大一番は、先手の本田四段が相掛かりから機敏な動きでリードを奪います。終盤戦に入ると巧みに後手玉を追いつめて、広瀬竜王に力を発揮させることなく99手で勝利。見事に挑戦者決定トーナメントを制しました。
本田四段のプロフィールを簡単に紹介します。本田四段は平成9年7月5日、神奈川県川崎市生まれの現在22歳。平成21年9月に宮田利男八段門下として6級で奨励会に入会すると、着実に昇級・昇段を重ねて平成27年4月に三段に昇段。7期目となる第63回三段リーグを勝ち抜いて、平成30年10月に四段昇段を果たしました。
21歳でのプロ入りは棋士の中では平均的といえますが、三段リーグでは昇段圏内から最後に失速して昇段を逃すなど、つらい経験があったようです。 四段昇段後のインタビューでは、「同じ宮田利男門下で1歳年下の弟弟子(斎藤明日斗・平成29年10月に四段昇段)が先にプロになって、追い越される形になりました。その後の彼との練習将棋では『玉将』を持つことになり(上位者が『王将』、下位者が『玉将』を使うのが慣例)、さすがにつらかったです」と、正直に胸の内を語っています。
そんなつらい経験がバネになったのか、本田四段はプロデビューしてから急戦系の将棋を武器に、各棋戦で勝ち星を積み重ねます。そして初参加となる今期の棋王戦では、1次予選から10連勝で頂点にたどり着きました。
ただし、まだ挑戦権を獲得したわけではありません。棋王戦はベスト4以上は2敗失格システムで、敗者復活戦があります。
本田四段はその勝ち上がり者(広瀬竜王―佐々木大地五段の勝者)と、変則二番勝負を戦い、1勝すれば挑戦権獲得となります(相手は2連勝が必要)。
もしも棋王戦五番勝負に登場して、渡辺明棋王からタイトルを奪取すれば、四段デビューしてからの期間は約1年半。これは史上最短記録になるようで、快挙達成がなるかどうか、これからが真価を問われる大事な勝負といえるでしょう。