豊島名人の脇システム、千田七段受けきれず
第5期叡王戦本戦(主催:株式会社ドワンゴ)豊島将之名人―千田翔太七段が12月1日に関西将棋会館で行われ、豊島名人が99手で勝って3回戦へ進みました。
振り駒で先手になった豊島名人は矢倉を選択。対する千田七段も矢倉を組み上げて相矢倉の戦いとなりました。相矢倉には森下システムや▲3七銀戦法など様々な戦法がありますが、豊島名人は脇システムを採用しました。
脇システムは脇謙二八段が得意としている形で、角が向かい合う先後同形から斬り合う戦法です。どちらが先に角交換を仕掛けるのか、あるいは角交換を拒否するのかで大きく展開が変わります。また、非常に研究が進んだ戦法でもあり、詰みまで研究されている変化もあります。
本局では、豊島名人が先に角交換を仕掛けて棒銀で端を強襲。千田七段が、馬を作って防戦する中盤戦となりました。攻め続ける豊島名人に対し、受けていてもキリがないとみた千田七段も反撃に出ます。しかし、そこで後手の竜の横利きを止めつつ、相手玉の急所をにらむ豊島名人の角打ちが攻防の決め手となり、以下は豊島名人が押し切って勝利しました。
豊島名人は次戦で、藤井猛九段―飯島栄治七段戦の勝者と対局します。 また、別棋戦の竜王戦では12月6・7日に、島根県「藩校 養老館」で広瀬章人竜王との七番勝負第5局が控えており、非常にハードなスケジュール。多くの棋戦で活躍する豊島名人から今後も目が離せません。