東武鉄道の日光線は今年10月1日、全線開通90周年を迎えた。これを記念し、同社の6050型(2両編成)を往年の6000系の車体色にリバイバルし、11月30日から運行を開始した。当日はツアー臨時列車として東武日光駅から東武動物公園駅まで走行。東武日光駅で就役記念の出発式が行われた。

  • 東武日光駅で通常塗装の6050型と6000系リバイバル塗装の6050型が並んだ

東武日光線は1927(昭和2)年に観光輸送路線として着工し、1929年に全通。1949年には「鬼怒」「華厳」といった特急列車が運行を始めた。その後、日光・鬼怒川エリアへの観光客が増加する中、特急列車をサポートする役割と地域輸送の役割を果たした車両が6000系。その頃の塗色が90周年を迎えた東武日光線に蘇ることとなった。

6000系は1964~1966年にかけて製造され、日光線系統の快速列車や快速急行に使用された。非冷房車だったため、1985~1986年に更新された車両が6050型となり、6000系としては1986年に引退している。今回登場した6000系リバイバル車両は、車両設備は6050型のまま、外装と座席モケットを車両更新前の6000系デザインにリバイバルしたものである。

外装の塗色は上部をロイヤルベージュ、下部をロイヤルマルーンのツートンカラーとし、車体前面に90周年記念のヘッドマークをステッカーで貼り付けた。前面の方向幕は「団体専用」「たびじ」となっており、車体側面や車内にその2つを一体化した幕を表示している。車内の座席モケットは金茶色を使用し、普段の6050型の赤茶色とは異なっている。

  • 6000系リバイバル車両の到着前に「リバティ」が到着

  • 6000系リバイバル車両が東武日光駅へ

  • 貫通扉を開けてヘッドマークを貼る

  • この日は団体専用列車として運行された

  • 座席モケットは金茶色に

  • ゆったりとしたクロスシート

  • 車内ではテーブルを使用できる

  • ヘッドマークが設置された

  • ホームでは駅弁販売の再現も

6050型には6000系を更新した車両だけでなく、1986年の野岩鉄道開業にともない新造された車両も存在する。2扉のセミクロスシート車両として、現在は南栗橋~東武日光・新藤原間で急行・区間急行および普通列車として地域輸送を担うほか、新藤原駅から野岩鉄道や会津鉄道にも乗り入れている。

■地元の老人クラブ連合会、地元園児たちも出発式に参加

6000系リバイバル車両の出発式は東武日光駅の4番線ホームで行われ、時代をともに歩んだ地元の老人クラブ連合会と、日光幼稚園の園児たちが招かれた。東武日光駅管区長の阿久津孝行氏は、「リバイバル塗装で昔を懐かしんでいただきたい」と挨拶。日光市老人クラブ連合会会長の森山良一氏は、「日光市にとって、東武鉄道日光線は地域発展に尽力した路線であり、高く評価しています」と語った。

東武日光駅では、かつて下今市駅で行われていた駅弁販売の様子も再現された。列車を送り出す際、地元のエレクトーン奏者である石下有美氏による演奏に合わせ、園児たちが手を振る。12時48分、阿久津駅長による「出発進行」の合図とともにリバイバル車両は動き出し、東武動物公園駅へ。発車後は阿久津駅長も一緒に手を振った。

  • 東武日光駅管区長の阿久津孝行氏が挨拶

  • 日光市老人クラブ連合会の会長、森山良一氏へ記念品贈呈

  • 園児たちも敬礼

  • 阿久津駅長による「出発進行」の合図

  • みんなで列車を送り出す

  • 手を振って車両を見送る

  • 石下有美氏によるエレクトーンの演奏

  • 東武日光線の90周年を花で祝う

  • 東武日光駅には世界中からの観光客がやってくる

出発式が行われた11月30日も、日光は多くの観光客でにぎわい、リバイバル車両に目を向ける人も多かった。このリバイバル車両は12月1日に開催された「2019 東武ファンフェスタ」でも、通常塗装の6050型と併結し、南栗橋車両管区から鬼怒川温泉駅まで団体専用列車として運行されたという。その後は通常列車として運行される。