JR貨物は30日、横浜羽沢駅が全国で30番目というE&S方式(着発線荷役方式)の設備を有する駅としてリニューアル開業することを受け、同駅コンテナホームにて開業式を開催した。花束贈呈やテープカットに続き、横浜羽沢駅の駅長による出発合図で記念列車が駅構内を走行する場面もあった。

  • JR貨物が横浜羽沢駅のE&Sリニューアル開業式を開催。コンテナホームに記念列車も(写真:マイナビニュース)

    JR貨物が横浜羽沢駅のE&Sリニューアル開業式を開催。コンテナホームに記念列車も

横浜羽沢駅は11月30日に開業した相鉄・JR直通線の新駅、羽沢横浜国大駅に隣接するJR東海道貨物線の貨物駅。相鉄・JR直通線の建設に合わせ、横浜羽沢駅でも改良工事が行われ、着発線上に荷役ホームを設置し、本線上の列車からコンテナの積卸しを可能とするE&S方式の駅に生まれ変わった。コンテナホームも拡張され、荷役線はこれまでの最大14両から最大26両まで対応可能となった。

開業式ではJR貨物常務執行役員 関東支社長の吉澤淳氏が登壇。「横浜羽沢駅は1979(昭和54)年、東海道貨物線の開業にともない、横浜市内にあった貨物駅を集約した総合物流基地として開業しました。現在は北海道・東北・関西・九州方面のコンテナ列車の発着を通じ、横浜地区を中心とする神奈川県東部の鉄道貨物輸送の拠点として機能しています」と駅を紹介し、相鉄・JR直通線事業に合わせた横浜羽沢駅の大幅改良により、「従来はコンテナの積卸しを行う荷役線と列車の走る本線が別々で、複雑な入換作業を介して荷役線と本線を行き来する必要がありました。E&S方式では本線上の列車からコンテナの積卸しが可能となり、入換作業が不要となることから、発送では締切時間が遅く、到着では引渡し時間が早くなり、利便性が向上します」と説明した。

  • E&S方式を導入し、リニューアルされた横浜羽沢駅の駅構内

  • 記念列車に横浜駅のE&Sリニューアル開業を祝うヘッドマークが掲げられている

E&S方式の導入により、貨物列車は到着直後から荷役作業を開始し、そのまま発車できるため、大幅な時間短縮と省力化、コスト削減が図られるだけでなく、輸送需要への柔軟な対応も可能になるという。横浜羽沢駅ではE&S方式に加え、列車の発着が可能な線路を増設することで、輸送障害時における急送品の迅速な取り卸しが可能となるほか、列車運転計画の変更が柔軟になるなど異常時対応能力も向上する。

吉澤支社長は駅周辺で道路網の整備が進んでいることにも触れ、「来年3月、首都高速湾岸線と東名高速を結節する横浜環状北西線も開業するとうかがっています。当駅の利便性がさらに向上するものと期待しています」とコメント。輸送力増強と利便性向上による利用拡大に期待している様子だった。

  • JR貨物常務執行役員 関東支社長の吉澤淳氏が挨拶

  • 横浜羽沢駅の駅長へ花束贈呈

  • 記念列車を前に記念撮影が行われた

  • 出席者によるテープカットの後、駅長による合図で記念列車が発車。駅構内を走行した

その後は横浜羽沢駅の駅長へ花束贈呈、出席者による記念撮影とテープカットが行われた。コンテナホームには記念列車が停車しており、牽引する電気機関車EF210形137号機に横浜羽沢駅のE&Sリニューアル開業を祝うヘッドマークを掲出。開業式の締めくくりとして、駅長による「出発進行」の合図とともに記念列車が警笛を鳴らしながら発車。駅構内を走行した。

横浜羽沢駅ではE&S方式の導入により、同駅を発車する列車の貨物を引き受ける締切時刻を15~78分繰り下げ、到着列車の貨物を引き渡す時刻を11~53分繰り上げるとのこと。新たな輸送力として、深夜の時間帯に横浜羽沢駅を発車し、北海道方面・九州方面へ向かう列車も各1本増やす。JR貨物は横浜羽沢駅で30駅目となるE&S方式に関して、今後も積極的に導入を進めるとしている。