アプリを利用していたところ、突然画面が消えてホーム画面が現れた……それは「アプリの異常終了(クラッシュ)」です。iOSが定めるマナーに違反したアプリは、システムの権限で強制終了させられることがあり、その結果アプリの起動やホーム画面の表示を司る特別なアプリ「SpringBoard」に制御が移るからです。
このアプリ画面が突然消える現象は、iPhone上で動作するすべてのアプリに起こりえます。数の多さからいって、App Storeで配布されるサードパーティー製アプリで見られることが多いものの、基本的にはアプリの不具合に起因するため、iOSに標準装備のアプリでも起こりえます。
その不具合のなかでも特に多いと考えられるのは、メモリ管理に関するものです。プログラムの設計ミスともいえるメモリリーク -- 割り当てたメモリ領域が不要となっても解放されず、トータルの使用量が増え続ける現象 -- が発生すると、アプリは異常終了することがあるのです。現在のiOSアプリは、ARC(Automatic Reference Count)という方法でメモリが管理され、初期のiOSに比べれば開発者がこと細かに確保や開放を指示する必要はないものの、依然としてメモリリークの問題は存在します。
そのようなアプリの設計に起因する異常終了は、エンドユーザレベルでは防ぎようがありません。特定の処理/操作を行ったときに異常終了するアプリは、アプリ側に問題がある可能性大ですから、アップデートによるアプリの不具合解消を待つことになります。
なお、アプリが異常終了したときには、そのときのシステム情報を記録したログが作成されます。『設定』→「プライバシー」→「解析および改善」→「データ」で参照できますが、メモリの使用状況を調べるためにシンボル化と呼ばれる処理をするなど、原因究明にはある程度のノウハウが必要になります。