家電量販店のエアコン売り場にいくと、白くて四角い箱が並んでいて「どのエアコンも同じに見える……」と思ったことはありませんか。シャープの新型エアコン「Airest(エアレスト)」は、見ればすぐに分かります。この、ちょっと前が突き出した独特の形は、エアコンと空気清浄機を組み合わせるために、内部のファン構造から変えたから。空気清浄機の集じんフィルターをそのまま搭載した、「空気清浄機と呼べる、唯一のエアコン」の詳細をレポートします。
最近のエアコンは進化がめざましく、基本機能の冷暖房だけでなく、清潔性や空気のキレイさなどをアピールする機種も増えています。シャープの調査によると、エアコンに求める機能として「空気の浄化」も基本性能として求められていることが分かりました。
もともと、シャープは独自技術の「プラズマクラスター」を使って、エアコンにおけるカビ菌の抑制、ニオイ対策といった、清潔機能に注力してきました。今回の新製品では、さらに一歩進んで、なんと空気清浄機の集じんフィルターを搭載し、空気の浄化性能を進化させています。
とはいえ、ただ集じんフィルターを搭載すればいいというものではありません。空気清浄機に搭載されているような集じんフィルターは、微細なホコリなどをしっかりとらえるために、目が細かくなっています。
従来のエアコンで搭載している「クロスフローファン」の場合、吸い込む力が弱いため、集じんフィルターが抵抗となって風量が弱まるという課題がありました。風量が弱いと、部屋を冷やしたり暖めたりするという、エアコン本来の性能をうまく発揮できなくなります。
では、一部分を集じんフィルターで覆うとどうでしょうか。今度は、フィルターがない部分(抵抗がない部分)に空気が流れてしまうため、空気の汚れを十分に取れません。
シャープが目指したのは、エアコンでありながら空気清浄機の工業会基準を満たす製品、つまり「空気清浄機と呼べるエアコン」というわけで、開発期間は4年にもおよんだそうです。
空気浄化の能力と風量の両方を満たすため、シャープが取り組んだのは内部構造を見直すこと。空気清浄機に搭載されているシロッコファンを4つ組み合わせた「4連シロッコファン構造」を採用することによって、吸い込み口をすべて集じん脱臭フィルターで覆っても、空気清浄機の業界基準を満たすエアコンを誕生させたというわけです。
お手入れは半年に一度、本体上部のフィルターを掃除機でキレイにするだけ。本体上部にあるため、取り出しやすいのも魅力です。
中が汚れないため、カビが発生しにくい
さらに、部屋の中をキレイにするだけでなく、エアコン内部のキレイさにもこだわっています。エアコン内部でカビが発生する原因となるのは、吸い込み口などから入り込むホコリと、結露。ホコリについては、集じん脱臭フィルターで解決できました。
結露は、エアコン内部と室内の湿度の差があることで生じます。湿度の差を縮めるために、熱交換器を入り口付近に配置。本体内部の湿度上昇を抑え、室内の湿度とほぼ同等に保てるようになりました。できるだけカビが発生しにくい環境にするわけですね。
空気清浄機とエアコンを一緒にしちゃうという、分かりやすい特徴のエアコン。シャープの担当者に「Airestがあれば空気清浄機は不要ですか?」と聞いたところ、床置きの空気清浄機は、花粉など重めの汚れに対してより効果を発揮し、エアコンに空気清浄機を搭載した場合は、ニオイやタバコの煙といった浮遊している汚れの除去に効果的ということで、それぞれ強みが異なるそうです。
設置スペースに余裕がない人や、空気清浄機を使っていない人は、まず今回の新エアコン(Airest)を使ってみて、空気清浄機の良さを知って欲しいという思いがあるようです。個人的には、空気の質が気になるけれどリビングほどスペースがない寝室や、子ども部屋などへの設置に魅力的なエアコンと感じました。