今回は、個性的な品ぞろえで知られるMEGAドン・キホーテ渋谷本店を訪れ、同店のPB(プライベートブランド)家電の売れ筋を取材しました。

代表的なPB「情熱価格」は2009年から始まり、家電や衣料品、バラエティグッズまでさまざまな商品をラインアップするようになりました。開発を担当している千崎貴史氏は「他のメーカーが作らないものを作ってしまおう、というのがコンセプトです。ドンキらしく安さ重視ながらもさまざまな工夫を盛り込んでいるので、そこに注目してもらえるとうれしいです」と語ります。

  • 同店のPB家電をはじめ、さまざまな家電が所狭しと並んでいる旗艦店のMEGAドン・キホーテ渋谷本店

    同店のPB家電をはじめ、さまざまな家電が所狭しと並んでいる旗艦店のMEGAドン・キホーテ渋谷本店の6階。PPIHグループ PB事業戦略本部 PB企画開発部 企画・開発チーム トレンドセレクト ヘッドチーフの千崎貴史氏に解説してもらった

売れ筋をたどる前に、情熱価格の商品を含め、同店で賢く買い物をするコツを3つ挙げてもらいました。

  • 品ぞろえや配置は店舗ごとの判断による。各店の個性を見定めるのも一興
  • クリスマスの前後1週間はとても混み合う。ゆっくり買うなら12月前半までがベター
  • 情熱価格は、高付加価値の派生ブランド「情熱価格PLUS」と「情熱価格PREMIUM」がある

MEGAドン・キホーテ渋谷本店は若年層と外国人の来客が多く、旗艦店ということもあって、新製品の投入が盛んという特徴があります。そんな同店で定番的な人気を獲得しているのはどんなモデルなのか、ベスト5を追っていきましょう。

※原稿と写真で掲載している価格は、2019年11月21日14:00時点のもの。日々変動しているので、参考程度に見てください。

第1位:HDMI入力端子付きの液晶一体型パソコン「MONIPA」

1位に輝いたのは、21.5インチフルHD液晶にWindows 10パソコンを内蔵した液晶一体型PC「MONIPA KAD215AI0-BK」でした。4GBメモリーや64GBのeMMCを搭載する仕様で、価格は2万9800円+税となります。

「必要最低限の機能に絞って価格を抑えつつ、モニターにHDMI入力端子を設けたことで、ゲーム用やDVDプレーヤー用、ChromeCastやFireStick用の画面としても使えるように幅を持たせています。最近は、テレビではなくネットで動画を見るというスタイルも多く、パソコン自体はライトに使うという方に支持をいただいています」

  • 情熱価格「MONIPA KAD215AI0-BK」

第2位:DVD一体型の「DVDプロジェクター」

続く2位は、DVDプレーヤーとプロジェクターが一体化した「DVDプロジェクター TSP-302-WH」。30~150インチの画面が投影可能で、USBやVGA、HDMI、microSDスロットなどの外部入力も備えています。価格は9980円+税。

「従来のポータブルDVDプレーヤーの需要を引き継いでヒットしたアイテムだと思います。手軽に動画を見るとなると、いまはスマホとなります。せっかくDVDを見るなら大画面で、ということで注目されていますね。子どもがいる家庭や一人暮らしの方、あとは仕事用やプレゼント用に指名買いされることが多いです」

  • 情熱価格「DVDプロジェクター TSP-302-WH」

第3位:メモリーを増量した2世代目のノートPC「MUGAストイックPC2」

3位には、14.1インチフルHD液晶を搭載したノートPC「MUGAストイックPC2 KNW14FHD2-SR」が入りました。2018年12月に登場したロングヒットモデルで、価格は初代ストイックPCと同じ1万9800円+税です。

「2017年1月に発売した初代もかなりの反響をいただきましたが、スペックが物足りないという声を非常に多くいただきました。そこで、価格を据え置いたままメモリーを倍増の4GBにするなどして強化したモデルになります。持ち運べるということで、大学のレポートを書きたいという方や、ちょっとメールやネットが見られればいいというライト層の方に売れています」

  • 情熱価格「MUGAストイックPC2 KNW14FHD2-SR」

第4位:バッテリーが3個も付属する「4Kビデオカメラ DV-AC3-BK」

4位には、情熱価格の派生ブランド「情熱価格PLUS」に属する「4Kビデオカメラ DV-AC3-BK」がランクイン。ソニーのCMOSセンサーを搭載した4K対応モデルで、手ぶれ防止に有効なスタビライザーや、合計3個のバッテリーを同こんしています。価格は1万7800円+税。

「本体内部の手ぶれ補正機能は弱いですが、三脚などを使えば問題なく高画質で撮影できます。バッテリーの予備も標準で手に入るので、子どもの運動会や発表会にも心強いと思います。YouTuberを始めようという人が初期導入の機材として買われることもありますね」

  • 情熱価格PLUS「4Kビデオカメラ DV-AC3-BK」

第5位:メリタとコラボしたコーヒーメーカー「絶品珈琲」

5位も、情熱価格PLUSブランドに属するアイテムになります。コーヒーメーカー「絶品珈琲 DXM-C05-BKGD」で、価格は3980円+税。メリタとコラボして開発した700mLタイプのペーパードリップ式メーカーで、2019年3月の発売から安定した売れ行きを持続しているとのことです。

「90度前後のお湯だけを使ってコーヒーを抽出するメリタ独自の『バイメタル抽出』を採用していて、美味しいコーヒーが淹れられると評判になりました。30代前後の人を中心に、じわじわとファンを増やしていますね」

  • 情熱価格PLUS「絶品珈琲 DXM-C05-BKGD」(左)

はみ出し情報…9月発売ですでに大ヒット「電子コミックス 読みまくリーダー」

今後のベスト5候補として挙げられたのは、Androidタブレット「電子コミックス 読みまくリーダー YMR8-DS」です。7.85インチ(768×1024ドット)のタブレットで、4種類のマンガアプリがプリインストールされています。価格は9980円+税。

この製品、9月末の発売から勢いよく売れているとのこと。「ちょうど単行本と同じくらいの画面サイズになります。このサイズのタブレットが最近少なくなってきたので、ズーム不要で読めるマンガ用タブレットを開発すればニーズがあるんじゃないかと考えました。予想以上の反響をいただいてありがたいです」

  • 情熱価格「電子コミックス 読みまくリーダー YMR8-DS」

著者プロフィール
古田雄介

古田雄介

フリーランスライター。『アキバPick UP!』(ITmedia PC USER/2004年~)や『売り場直送! トレンド便』(日経トレンディネット/2007~2019年)などのレポート記事を手がける。デジタルと生老病死のつながりにも詳しい。著書に『死とインターネット』(Kindle版)、『ここが知りたい! デジタル遺品』(技術評論社)、『故人サイト』(社会評論社)など。