JR東日本仙台支社は28日、只見線の車両置換え・デザイン変更を発表した。キハE120形8両を只見線に導入し、デザインを変更して来春から営業運転で使用する予定。あわせて只見線会津川口~只見間の運転再開に向けた取組みも発表された。
キハE120形は片側2ドア、ステンレス車体のディーゼルカー。2008年から運行開始し、現在は新潟地区の羽越本線、米坂線、信越本線、米坂線で活躍中。車いす利用者にも対応した大型洋式トイレを備え、環境対策として排気中の窒素酸化物(NOx)や、黒煙などの粒子状物質(PM)を低減するエンジンを搭載している。
今後、8両とも只見線に導入する予定で、来春の営業運転開始に向け、今年12月から順次デザイン変更を行う。「只見川と残雪、冬の厳しさに負けじと萌える新緑の山々をイメージ」したデザインとされ、車体側面の窓下に施す3色のラインは上段が「冬の只見線」、中段が「新緑の森」、下段が「只見川」をイメージしているとのこと。
只見線は2011年7月に発生した新潟・福島豪雨災害の影響により、現在も会津川口~只見間(延長27.6km)でバスによる代行輸送を行っている。
運転再開の取組みは2017年6月に福島県と締結した「只見線(会津川口~只見間)の鉄道復旧に関する基本合意書及び覚書」にもとづき進められる。鉄道施設等の復旧工事に関して、第5只見川橋りょう、第6只見川橋りょう、第7只見川橋りょうの橋脚などが完成し、斜面や盛土の復旧工事、マクラギ交換などの軌道工事も実施中。第5只見川橋りょうは今年度内、第6只見川橋りょう、第7只見川橋りょうは来年度から桁の架設を実施し、2021年度中をめどに鉄道復旧工事を完了する予定だという。
福島県は只見線利活用計画を策定し、今年10月から来年2月29日までの土日祝日、会津柳津~会津川口間の定期列車内で特産品等の販売や地域紹介、絶景ポイントでの速度低下運転、車窓からの見所を紹介する音声ガイドといったおもてなしの実証事業を行っている。企画列車(団体臨時列車)も運行され、12月15日には「特別列車・風っこ号で行く! 親子で奥会津まるとごと体験ツアー」が開催される予定。これらの事業に協力するとともに、JR東日本独自の取組みとして、ゴールデンウィーク期間や夏休み期間に臨時列車も運転してきた。沿線の魅力ある観光地などを紹介する「只見沿線のたび」パンフレットを作成し、JR東日本管内の各駅に掲出する取組みも行っている。