ジャパンディスプレイ(JDI)は11月28日、基板上に無数の微細なLEDチップを並べて画像を表示する「マイクロLED」(Micro LED)ディスプレイの試作開発をおこなったと発表した。同社が培ってきたLTPSバックプレーン技術とよばれる回路技術を適用することで、圧倒的な輝度の高さや広い視野角を実現したという。マイクロLEDはポスト有機ELの有力候補とされている。

  • 「マイクロLED」(Micro LED)ディスプレイの試作開発品

有機ELと同様に画素自体が発光するが、マイクロLEDの画素はRGBの三原色にわかれた極小サイズのLEDだ。そのため、あくまで有機物である有機ELに比べ耐久性に優れている。また、液晶と比べるとバックライトや偏光板、カラーフィルターが不要となるため、簡素な構造かつ高輝度や高視野角を実現しやすい。

今回JDIが開発試作したマイクロLEDディスプレイは、画面サイズが1.6インチで、画素数が27万画素(300×RGB×300)、精細度が265ppiというものだ。輝度は3,000cd/平方mで、これは一般的な液晶ディスプレイの10倍ほどの明るさ。視野角は178度という。また、マイクロLEDには米シリコンバレーのベンチャー企業、glo社のチップを採用している。

大型化見据えた「透明」液晶ディスプレイも開発

JDIは同日、12.3インチに大型化した透明液晶ディスプレイの開発も発表した。同社は2020年度に、この技術を用いた製品の量産を開始する計画だ。

  • 12.3インチの透明液晶ディスプレイ。背景が透けて見える

同社は2017年には、液晶ディスプレイからカラーフィルターや偏光板を取り除く技術を用いた4インチの透明液晶ディスプレイを開発していた。今回はこれを12.3インチへと大型化することに成功しており、さらに直視型カラーディスプレイとしては世界トップクラスという透過率87%(非表示時)を実現している。12.3インチで画素数は1,440(横)×540(縦)、精細度は125ppi、最大表示色は4,096色だ。

透明液晶ディスプレイは、映像非表示時には設置環境に溶け込み、表示時は表示情報と共に、ディスプレイ越しに実体物を観ることを可能にする。例えばデジタルサイネージなど、これまでにない未来感ある新しいディスプレイの使い方を提案できるようになる。

なおJDIは今回の2つの開発試作品を、2019年12月4日~6日に幕張メッセで開催される「ファインテック ジャパン2019」に出展する。