プロトタイプ機の構成を読み解く

A64FXプロト機は、次の図に示すように、384個のA64FX CPUを内蔵した2本のラックを中心に、左側に描かれた冷却水を供給するCDU、右側に描かれた高精度電力計、バックアップの電力計からなり、それらを制御用と管理用のEthernetで繋いでいる。

  • A64FX

    A64FXのプロト機は、384個のA64FX CPUを収容する2本のラックと冷却水を供給するCDU、制御と管理用のEthernetで構成されている。それに消費電力を測定する高精度の電力計とバックアップの電力計が接続されている

次の写真は2本のA64FXラックの外観と電力計の接続の様子を示すものである。

  • A64FX

    左はA64FXプロト機の2本のラック(左)と分電盤に電力測定のクランプを取り付けたところ(右)

次のプロットは、富岳プロト機の1/4の部分の電力の測定結果を示すものである。コアフェーズでは、ほぼ一定の消費電力で推移しており、良好な負荷分散ができていることが分かる。コアフェーズの消費電力は118.48kW、アイドル時の消費電力は46.92kWである。

なお、実際の測定はプロト機の1/4の部分で測定を行っているが、この消費電力はプロト機全体に換算した値になっている。

  • A64FX

    A64FXプロト機の1/4の部分のLinpack走行時の電源電流。コアフェーズ全体でほぼ一定の電流であり、うまく負荷分散ができていることが分かる。プロト機のコアフェーズでの消費電力の平均は118.48kWであった

富岳プロトタイプの成果をシステムとして販売

富士通は、このシステムを「FX1000」と「FX700」という名称で販売を始めることを明らかにした。FX1000は384ノードを1つのラックに収め、ラック間をToFu Dインタコネクトで接続して大規模スパコンを作ることができる。

FX700は8ノードを搭載した複数台の2Uのサーバをラックに収め、ノード間はInfiniBandで接続する。FX700では、A64FXチップに内蔵されているToFu Dネットワークのインタフェースは使われないとのことである。

そして、FX1000は水冷であるが、FX700は空冷となっている。また、FX1000は富岳スパコン用のツールやミドルウェアが搭載されているが、FX700の方はオープン環境のツール類が搭載されているという違いがある。

  • A64FX

    富士通はFX1000とFX700という2種のスパコンを商品化した。FX1000は大型スパコン向けでToFu Dインタコネクトを使うが、FX700はInfiniBandでノード間を接続する。ソフトウェアもFX1000は富岳スパコンと共通点が多いが、FX700はオープンなツール類が中心である