JR西日本は26日、大阪駅にて「電子ペーパーを活用した可変式掲示板」の実証実験を報道関係者らに公開した。今回の実証実験は2023年春の開業を予定している「うめきた(大阪)地下駅」でのサービス提供の実現性を視野に入れているという。
実証実験で使用中の可変式掲示板は、鉄道案内としては初という大日本印刷提供のDNP電子ペーパー(Elnk方式)を採用。身近なもので例えると、電子書籍を掲示板用に拡大した機械といえる。実証実験は大阪駅で行われているが、2023年春に開業予定の「うめきた(大阪)地下駅」がめざすシームレスな移動(誰もが意のままに利用できる駅)の実現に向けたサービス提供の実現性を検証することが目的とされている。
可変式掲示板は大阪駅連絡橋口・御堂筋口の改札付近とコンコースに計16台を設置。通常時は4カ国語(日本語、英語、中国語、韓国語)でのりば案内や行先案内などを表示し、異常時には計画運休や迂回運転などの情報を表示する。列車の遅延をはじめ、刻々と変化する情報は従来の電光掲示板が案内する。今後、イベント会場までの交通情報を表示する計画はあるが、広告や宣伝には使用されない。
カラーではなくモノクロ表示ではあるものの、可変式掲示板は駅に設置されている従来の電光掲示板と比べて文字がくっきりと表示されることが特徴。外国語での情報発信も充実しており、訪日外国人観光客にもわかりやすいだろう。
表示される情報は駅務室の専用端末からワイヤレスで送出する。この可変式掲示板はコンセントではなくバッテリーで動くため、従来の表示器にあったコードがなく、軽量かつ自由に移動できることも強みのひとつ。省電力なので環境にもやさしい。
今回の実証実験において、可変式掲示板は従来の電光掲示板の補助的な役割を果たす。現場では運行情報に関する掲示物の張替作業などを省略できることに期待もある様子。緊急時は可変式掲示板などの電光掲示板を活用して情報を伝え、これに加えて駅員らが利用者にていねいに説明するなどして対応するとのことだった。
実証実験は2020年2月頃まで実施予定。その後は実証実験中に行われるアンケート調査や行動観察、技術の進歩などを勘案しつつ、対応を検討するとしている。