伊藤沙恵女流三段は7度目の挑戦も実らず。厚かったタイトルの壁

里見香奈倉敷藤花に伊藤沙恵女流三段が挑戦していた第27期大山名人杯倉敷藤花戦三番勝負(主催:倉敷市、倉敷市文化振興財団、山陽新聞社)は、岡山県倉敷市「倉敷芸文館」で第2局(11月23日)・第3局(同24日)が行われました。

里見倉敷藤花の先勝を受けて午前10時から始まった第2局は、里見倉敷藤花が先手で相振り飛車へと進みます。午後からは公開対局として行われ、あとのない伊藤女流三段が会心の指し回しを見せて勝利。決着は最終局へと持ち越されました。

シリーズ対戦成績が1勝1敗となった運命の第3局。伊藤女流三段が先手で戦型は、またも相振り飛車になりました。先に仕掛けたのは伊藤女流三段。ただし、一気に攻めきろうとするのではなく、途中で攻撃の手をいったん緩めました。

手を渡された里見倉敷藤花の指し手がピタリと止まります。難解な局面を前に、考慮時間は昼食休憩を挟んで約50分。持ち時間2時間の対局では異例ともいえる長考で、急所に歩を垂らす好手を放ちました。局後に長考について問われると、「昨日は読みがまとまっていないまま指していたり、予定変更をたくさんしたりで、自分としては残念な対局でした。結果より内容に対して残念な気持ちが強かったので、今日は時間を使っても納得して指そうと思いました」(中継ブログより)と里見倉敷藤花は語りました。

この歩が終盤に生きて、里見倉敷藤花が勝利。見事に2勝1敗で防衛を果たし、5連覇を達成しました。伊藤女流三段は7度目のタイトル挑戦でしたが、悲願の初タイトル獲得はなりませんでした。

これで里見は通算10期目の倉敷藤花獲得で、清水市代女流六段の獲得記録に並びました。

倉敷藤花は里見にとって初タイトル獲得を果たした縁のある棋戦でもあり、来年は記録更新に挑みます。

里見香奈倉敷藤花