経団連が発表した第1回集計では、大手企業の年末のボーナスの平均は96万4543円と、2019年冬のボーナスは過去最高を更新したとの景気の良いニュースが流れています。

給料とは別にまとまったお金が入るボーナスは、貯蓄額を大きく増やすチャンスです。月々の貯蓄額が少なくても、ボーナスでカバーすることもできます。

例えば、年100万円を貯めるためには毎月約8万3000円の貯蓄が必要ですが、月5万円×12か月=60万円、夏と冬のボーナスで20万円ずつの40万円で100万円の貯蓄ができます。毎月の手取りが少なくてもボーナスで挽回は十分できるのです。それだけボーナスを貯蓄のまわすことで全体の貯蓄額を大きく増やすことができるのです。

しかし、ボーナスをあてにした買い物や消費をすると、せっかくの貯めるチャンスを逃してしまうことになりかねません。また、クレジットカードのボーナス払いを利用するのも危険です。思うようなボーナスが入らなかった場合、今まで貯めた貯蓄などを切り崩すことになってしまうでしょう。

基本的にボーナスは、すべて貯蓄です。今まで何回かこの連載でも紹介してきましたが、貯蓄には大きく分けて2つの貯蓄があり、「使えない貯蓄」と「使うための貯蓄」があります。

「使えない貯蓄」とは、住宅購入や老後資金、子どもの教育資金といったその目的以外には使えない貯蓄のことで、「使うための貯蓄」とは、家電の買い替えや車検費用、冠婚葬祭費、帰省費用などの10~20万円ほどの出費に備えるための貯蓄です。この口座には50万円程度あるのが理想です。

貯蓄の用途を大きく2つに分けることで、目的別の貯蓄は順調に額を増やすことができ、そして急な出費にも対応できる使うための貯蓄でいざというときの安心感を持たせることができます。どちらの貯蓄も、毎月の収入から一定額ずつ積み立てるのはもちろんのこと、ボーナス時にもしっかりと貯めましょう。

そしてその割合は、ボーナス時は「使えない貯蓄」に7割、「使うための貯蓄」に3割がおすすめ割合です。住宅ローンのボーナス払いがあれば、その分を引いてから、それぞれの貯蓄に回します。できるだけ割合を変えないようにするのが貯めるコツです。

年末年始の帰省費用や旅行代金は、「使うための貯蓄」から使うことができるのでご安心を。

注意すべきはボーナスを生活費の補填に使うこと

ボーナスを貯蓄に分けることなく、給与振り込み口座に預けたままにしている家計を目にすることがあります。毎月いくら使っているかわからないけれども、プラスにもマイナスにもならない家計は、ボーナスを毎月の赤字分を補填している典型例と言えます。

またこのような家計の特徴として、ほとんどの支払いをクレジットカードで済ませていることです。クレジットカード払いが悪いのではなく、使った分を現金と同様に管理ができない家計が問題なのです。

心当たりがある場合は、クレジットカードなどの支払いを一旦、ボーナスで清算してから毎月の収入でやりくりできるように、家計の見直しをすることが大切です。

もちろん、クレジットカードを使ったらその分の現金を引き落とし口座に入金するか、銀行口座から即時に引き落としがされるデビットカードを使って決められた生活費の中でやりくりをするようにしましょう。

ボーナスは貯蓄を増やすチャンスでもあり、膨らみがちな家計をリセットするチャンスでもあります。増税などで使えるお金は年々減っていきていますので、早めに貯まる家計に切り替えましょう。

丸山晴美(まるやま はるみ)

  • alt
外国語の専門学校を卒業後、旅行会社、フリーター、会社員、コンビニ店長へと転職。22歳で節約に目覚め、年収が350万円に満たないころ、1年で200万円を貯める。26歳でマンションを購入。2001年に節約アドバイザ―として独立。ファイナンシャルプランナー、消費生活アドバイザーの資格を取得し、お金の管理、運用のアドバイスなどを手掛け、TV、雑誌などで幅広く活躍している