京都鉄道博物館で24日、JR貨物の直流電気機関車EF200形、日本通運の貨車シキ800形のお別れセレモニーが開催された。11月16日から本館1階「車両のしくみ / 車両工場」エリアで特別展示され、最終日の11月24日に出線シーンが公開された。
EF200形はJR貨物発足後の1990(平成2)年から1993年まで製造され、東海道・山陽本線でコンテナ貨物列車の牽引に活躍した電気機関車。VVVFインバータ制御と三相かご形誘導電動機を搭載し、従来の直流電気機関車EF64形・EF65形の約1.5~2.4倍となる出力6,000kWを発揮。ユニットブレーキ・電気ブレーキ併用の電気指令式空気ブレーキシステムを搭載するなど、その後の新形式機関車に応用される技術を多数蓄積していたという。EF200形は2019年3月28日をもって運用終了している。
シキ800形は「大物車」と呼ばれる貨車で、日本通運の私有貨車として1973(昭和48)年に製造され、おもに大型変圧器の輸送を担ってきた。荷受梁はガーダー(橋桁)構造で、側面幅は変圧器の幅に合わせて伸縮可能。荷受ヒンジは梁から突き出るB2梁(製造当初は梁にはめ込むB1梁も用意)で、アタッチメントと組み合わせることにより、どのメーカーの製品にも対応できたという。積載時には45km/hで運用され、空車時は75km/hで回送が可能だった。シキ800形は今月上旬に行われた輸送を最後に運用を終えた。
京都鉄道博物館では11月16日からEF200形・シキ800形の特別展示が始まり、土日にEF200形・シキ800形の解説ツアーやEF200形の運転台公開、JR貨物のこども制服を着用しての記念撮影会も開催されたという。最終日の11月24日、午後に行われたお別れセレモニーでは、JR貨物関西支社吹田機関区長の松田佳久氏、日本通運関西重機建設支店長の平松孝則氏、京都鉄道博物館館長の三浦英之氏が登壇した。
松田区長は挨拶の中で、EF200形に関して、「当時において最先端の技術を導入し、狭軌の機関車としては世界と肩を並べる高出力を誇っていました。しかし電気・電子部品の技術革新は目覚ましいものがあり、部品供給などの課題から、昭和の国鉄時代に生まれた機関車がいまも活躍する中、平成生まれの機関車がひと足早く引退することとなりました」と説明。続いて挨拶した平松支店長も、シキ800形引退の背景として、技術革新により変圧器の小型軽量化が進んだこと、分解輸送が可能になったことなどを挙げた。大物車の所有状況について、「この車両の引退後、当社が所有するシキ801・シキ611の2両にJR貨物が所有するシキ1000の3両を加えた計5両となります。現在所有の貨車のみでも、これまでと同様の大型機器輸送が可能です」(平松支店長)と述べた。
三浦館長は、「貨物用の機関車や貨車など、一般の皆様の目に触れることなくひっそりと引退することが多い中、このように大勢の皆様に見送られ、2両とも幸せな最後を迎えられたのではないかと思います。『ありがとう。お疲れさまでした』という気持ちで見送りたい」と挨拶した。その後の出線シーンでは、ディーゼル機関車DE10形がシキ800形、続いてEF200形を牽引。EF200形の車体側面に引退記念のメッセージボードが掲出され、出線に合わせて紙テープによる演出も。「いい日旅立ち」の演奏が行われる中、引退するEF200形・シキ800形を多くのファンらが見送った。