近年、共働き夫婦は増加し、家計を夫婦2人で支えていることも珍しくなくなりました。ダブルインカムでお金の入り口が2つになると、ややこしくなるのが家計管理です。今回は、共働き夫婦の家計管理法を3パターンに分け、それぞれのメリット、デメリットを考えてみました。

その1)夫と妻の収入に合わせて生活費分担型

この管理法では、まず共有の「生活費口座」をつくります。“共有口座”といっても、連名の口座は持てないので、実際には夫婦どちらかの名義になります。

次に、1カ月に必要になる生活費を算出します。

例)

・住居費(住宅ローン、家賃、駐車場代など)
・水道光熱費(毎月の平均額)
・食費
・日用品費
・子ども費(子どものオムツ代、衣類、給食費、学用品、部活代など)

生活費の合計額を、夫婦ともに「生活費口座」に入金します。

夫の給与口座→→生活費口座←←妻の給与口座

その際に大事なことは、夫と妻の収入額に見合った金額を入金することです。たとえば、夫の月収が30万円で、妻が20万円の場合、収入比は3:2。生活費の合計額が10万円であれば、夫6万円、妻4万円を入金します。

住宅ローンや水道光熱費の引き落としはこの口座に設定し、食料品、日用品、子どもにかかるお金もこの口座から出します。通信費(スマホ代)、生命保険や医療保険の保険料、趣味費など夫婦それぞれが使うお金は各自で分担。この口座でまかなうのは、家族に関係する支出だけです。

この管理法のメリットは、夫婦で同じ額を分担すると、収入が低い方の負担が大きくなりますが、収入に合わせて分担すれば、その悩みがなくなります。デメリットとしては、生活費の分担金以外が自由に使えるお金になるので、それぞれが自己管理する必要があること。自分は毎月ちゃんと貯蓄しているのに、相手は全部使い切っているということもあるかもしれません。

貯蓄分を別に確保しないと、貯まりにくい家計になります。

その2)夫=固定費、妻=変動費担当型

この管理法では、夫の給与口座からは夫名義で契約しいている住居費、水道光熱費などの固定費が引き落とされるように設定します。その代わり、妻は日々消費する食費や日用品費などの変動費を分担します。夫婦それぞれの支出は各自でまかなうというルールは、「夫と妻の収入に合わせて生活費分担型」と同じです。

夫の給与口座→固定費引き落とし

妻の給与口座→変動費をまかなう

この管理法のメリットは、「夫と妻の収入に合わせて生活費分担型」のように、生活費用に新たに口座をつくったり、毎月、その口座に入金したりする手間がないこと。デメリットとしては、子どもが成長し食費や子ども費がかかるようになると、変動費が増えるので、分担の見直しが必要になることです。

また、「夫と妻の収入に合わせて生活費分担型」と同じように、分担したお金以外は自由に使えるので、ムダ使いに走りやすいことも挙げられます。そこで、夫婦それぞれの口座から自動引き落としで、毎月決まった金額を先取り貯金するのがオススメです。

先取り貯金口座

   ↑

夫の給与口座→固定費引き落とし

妻の給与口座→変動費をまかなう

   ↓

先取り貯金口座

その3)夫婦の収入一元管理型

この管理法では、夫婦の収入を1つにまとめて、夫婦のうち家計管理の適正がある方が管理します。お金の入り口が1つの「ひとり稼ぎ」家計と同じ管理法です。

この管理法のメリットは、家計管理を担当した人がやりくり上手なら、前述の2つの管理法よりもお金が貯まること。夫の給与が「ひとり稼ぎ」家計と同額程度あるなら、夫の給与は生活費などに使う用に。妻の給与は貯める用にして手をつけないくらいのつもりでやりくりすると、どんどん貯まっていきます。

夫の給与口座→使う用

妻の給与口座→貯める用

この管理法のデメリットは、夫婦で家計の情報を共有しないと、家計管理を担当した人の負担が大きくなること。またお小遣い制になるので、自由に使えるお金が前述の2つ管理法よりも減ります。その点に、特に家計管理を担当していない方が不満を感じることもあるかもしれません。家計簿をつけるのは、夫婦どちらか一方でも、1カ月の収支や貯蓄額など家計情報を共有することが大事です。

今回は、3つの管理法を紹介しましたが、いちばん重要なことは家庭に合った管理法を見つけること。「我が家にとってお金の貯めやすい家計管理法はどれだろう?」ということを、夫婦で一度話し合ってみてはいかがでしょか。

  • 回遊舎

村越克子

フリーランスライター。学習院大学文学部心理学科卒業。編集会社を経て、フリーに。主婦を読者対象とした生活情報誌を中心に執筆。家計のやりくりに奮闘する全国の主婦を取材し、節約に関する記事を数多く手がける。執筆協力に『綱渡り生活から抜けられない人のための絶対! 貯める方法』永岡書店など。