• ワイヤレスで隊列を組む「ROBOLUTION」シリーズ。並ぶ姿はまるでゲーム「ドラゴンクエスト」のパーティのよう……?

ロボティクスと自動運転技術を組み合わせた新しいコンセプトの移動ソリューション「ROBOLUTION」のビジネス化を目指す大阪のロボットベンチャー企業「ロボリューション」は、屋内で人や荷物を運べる人搭乗型モビリティ、荷物運搬型モビリティ、これらを誘導する自律走行ロボットの3機種を開発し、デモ走行を披露しました。

「ROBOLUTION 01」はジョイスティックを使って手動運転できる人搭乗型モビリティで、ボタン一つで追従モードに切り替えて、人や誘導ロボット「ROBOLUTION 03」の後をついて自動走行できます。ヘッド部分に高音質のスピーカーが搭載されていて、移動中にガイドや音楽を聞くことができます。

  • 人が乗れる座席がある「ROBOLUTION 01」。見た目は大きめですが操作性は良く、安定感があり旋回性能も高いです

  • 操作はジョイスティックで。行きたい方向に倒すことで、その方向へ向かうことができます。その横にディスプレイやタブレットなどが置けるようにしています

  • 音質にこだわったスピーカーはボーズ製!

ROBOLUTION 01の実際の動き(動画の搭乗者は関係者です)

「ROBOLUTION 02」は、運搬型ロボットなどを開発するDoog(ドーグ)の「サウザー」をベースに設計された荷物運搬型のモビリティで、前方にあるハンドルを使って軽くひっぱるだけで操縦でき、誘導ロボットの後を追う追従モードにも切り替えられます。

  • 「ROBOLUTION 02」は大型のスーツケースが2〜3台積めるほどの大きさ

  • 重い荷物を乗せいても、小さなジョイスティックの操作だけで軽々運べます。追従モードもワンタッチで切り替えOK

「ROBOLUTION 03」は、「01」と「02」を誘導する自律走行ロボットで、Fetch Robotics(フェッチ・ロボティックス)の可搬自走ロボットFreight(フレイト)をベースに開発されています。レーザーセンサーで空間マッピングした地図を作成し、ワンタッチでルートや速度の指定ができます。途中に障害物があったり人が横切ったりすると自動で停止し、再び目的地まで最適なルートを計算する完全自律走行が可能です。

  • 「ROBOLUTION 03」は人の代わりに設定されたルートを自律走行します。ROBOLUTION 01や02を誘導する役目を担っています

  • 本体の足元にレーザーセンサーなどが搭載されていて、障害物や人を検知して動きを制御します

  • 03にはスピーカーも付いていて音声ガイドや広告などに使えるとのこと。蹴って停める緊急ボタンも付いています

組み合わせは自在。人だけでも、荷物だけでも

空港などの屋内施設で自律走行するロボットやモビリティを運用する実験は数年前から始まっていますが、ロボソリューションでは使用シーンや用途に合わせて単体でも複数を組み合わせて利用する運用性の柔軟さと、汎用性の高さをポイントに開発を行っているといいます。

例えば座席付きの「01」は電動スクーターほどの速度が出せるので、単体で移動モビリティとして利用でき、大きな荷物がある時は「02」で一緒に運べます。実際に「01」に乗って運転してみたところ操縦は簡単で狭いところでもスムーズに移動ができ、そのうえ走行中のモーター音などはほぼ無く、屋内でも静かに移動できそうでした。

同じ場所で用途を使い分けることもでき、混雑している時間帯は人が追従モードで操縦し、空いている時間は自律運転を利用し、営業終了後は業務用として荷物を運んだり、警備に利用するといった使い方が考えられます。また、起動音やボタンを押した時の操作音、移動中に流れるBGMなど音回りが作り込まれていて、「03」の後部に搭載されたスピーカーからアナウンスを流したり、「02」の側面にデジタルサイネージを付けて連結し、屋内広告などに利用するといったこともできます。

  • 組み合わせの提案例

  • 空港内や大型展示会、デパート、ショッピングモールなどでの活用を見込みます

  • 誘導ロボットの03がなくとも、01単体で動かすこともできます

声優・飯田里穂さんも参加。異業種のプロを集めた開発チーム

ロボリューション代表取締役の小西康晴氏は、村田製作所のムラタセイコちゃんプロジェクトなど、複数の企業のサービスロボット開発にプロデュースとして参加した経歴を持ちます。開発プロデュースを担当したピップの高齢者向けメンタルケアロボット「うなずきかぼちゃん」は1万台近く売れたそうです。

そうした経験から小西氏は「ロボット開発には機能価値とあわせて感性価値が重要」と考え、ロボット関連企業だけでなく、サウンドクリエイター、プロダクトデザイナーなど、各分野の第一線で活躍している人たちが参加する9名のチームで、今回の開発を進めています。

なお、参加メンバーの1人は、「ラブライブ!」などで活躍する声優の飯田里穂さん。感性価値を高めるために効果音、音声を作成するというビジネスモデルを設定した延長で声優を依頼したところ、ナレーションとしてチームに参加してもらえることになったとのこと。もちろんチームメンバーの一人としてアイデア出しや意見をもらうなど、ビジネスにも参加されます。

  • ロボリューション代表取締役の小西康晴氏

  • ロボット開発以外の幅広い分野から9名のメンバーがチームに参加している

「本ソリューションは技術寄りになりがちなロボットビジネスに対し、テーマにあわせて各ジャンルの様々なノウハウを融合して新たな価値を生みだしたいと考えています。空間に何台ロボットを配置するといいのか、ステーションどこに設けるかといった総合的な提案が必要なので、できればすでにある施設より新しく作る空間に向けて企画から提案できるのが理想です。そのために今後は複合的に動かす場合の安全性や運用の検証を実証実験で洗い出していきたいと考えています。」

  • ロボリューションが考えるサービスロボットに求められる価値

ロボリューションはチームで活動しており、ここまでの開発はサービスロボットビジネスの企画から試作、量産依頼まで支援する一般社団法人「i-RooBO(アイローボ)ネットワーク フォーラム」と協力して行っています。すでに04と05の開発も進行中で、まずは2025年に開催される大阪万博での運用を目標に開発を進めていくとしています。