2019年SSDの価格は下がり続け、Serial ATA接続なら1TBを1万円前後で購入できる製品が増えてきた。そこで、ここではお買い得な1TBモデル4製品を集め、ベンチマークでテスト。実力をチェックしたい。
Serial ATA接続で1TBクラスのSSDは、2019年1月の時点では2万円前後の価格が多かった。安い製品でも1万円台後半だ。しかし、そこから価格は下がり続け1万円前後で購入できる製品が増えてきた。ここまで下がれば、1TBクラスのSSDをデータ保存用に追加したり、OSをインストールするシステム用のストレージを乗り換えようと考える人も多いだろう。
とくに最近のPCゲームは50GBを超えるタイトルが珍しくない。「レッド・デッド・リデンプション2」が求めるストレージ容量は150GBとなっているほどだ。500GBクラスでは数本しかゲームをインストールできない時代になっている。ならば、低価格、大容量のHDDにすればと思うところだが、ゲームのロード時間もSSDのほうが高速。1TBクラスのSSDを求めるのは自然の流れというものだ。
1万円の1TB SSD、良さげな4製品をピックアップ
しかし、1TBで1万円前後という低価格SSDに性能面はどうだろうかと疑問に感じる人もいるだろう。そこで、ここでは4製品をピックアップし、ベンチマークで性能をチェックしていきたい。まずは、取り上げる製品を紹介しよう。下の表は各製品のスペックや保証期間をまとめたものだ。
Serial ATA接続のSSDは、ほぼインタフェース速度の上限(Serial ATA 3.0は最大600MBs/s)に達しているため、スペック上では速度面に大きな差はない。保証期間や価格も横並びだ。ちなみに、TBW(Tera Byte Written)はSSDに書き込める総量のこと。耐久性を見るための一つの目安だ。これだけで見るとLexarのNS100は頭一つ出ていると言える。
NANDタイプは2種類に分かれる。TLC(Triple Level Cell)はセルあたり3bitデータを記録、QLCは4bitデータを記録する方式だ。QLC(Quad Level Cell)のほうが多くの情報を書き込めるため、大容量化と低コスト化が可能だが、TLCに比べると読み書き速度や耐久性は劣ってしまう。今回唯一のQLC採用モデルであるSamsung SSD 860 QVOは、その弱点を補うためNANDの一部をSLC(Single level cell)として使うことで高速なデータ転送を可能にする「Intelligent TurboWrite」を備え、TLCと変わらない速度を実現している。
DRAMキャッシュは、主にNANDのどこにデータが記録されているのか管理するためのアドレス変換テーブルの情報保持に使われている。そのため、DRAMを備えていないSSDでは主に速度の遅いNAND側にアドレス変換テーブルを持つことになるため、小さなデータを頻繁にやりとりするランダムアクセスでは効率の悪さが出やすい。とくに大容量(広範囲)のデータに対するランダムアクセスは苦手だ。
今回は、DRAMキャッシュを使わないことで低価格を実現している3製品、DRAMキャッシュを搭載しているがQLCの採用でコストを下げた1製品という図式と言える。
注意してほしいのは、分解は保証を受けられなくなる可能性があること。また、ケースの分解は難易度が高いものもあり、破損の危険もある。もし実行する場合は完全に自己責任だ。また、詳細なスペックが公表されていない製品は出荷時期によって搭載チップが変わる可能性がある。あくまで今回使用したSSDのチップ構成であるという点は覚えておいてほしい。