堤真一と岡村隆史がW主演を務める映画『決算!忠臣蔵』が22日より公開される。山本博文による『「忠臣蔵」の決算書』(新潮新書刊)をもとに映画化された同作は、おなじみ「忠臣蔵」の世界を「お金」の視点から新たに浮かび上がらせ、忠義や誇りといったもともとの忠臣蔵の世界を現代的な視点で蘇らせた作品となっている。
今回は、討ち入り急進派の武林唯七を演じる、A.B.C-Zの橋本良亮にインタビュー。映像作品としては初挑戦となった時代劇への思いや、さらに飛躍していきたいという今後への展望、さらに共演した先輩の横山裕の演技に感じた驚きなど、様々な話が飛び出した。
――橋本さんは映像作品としては時代劇初挑戦だということでしたが、苦労はありましたか?
映画自体にハードルの高いイメージがあるのに、そこからの「時代劇」ということで、急にてっぺんにいってしまったというような感覚でした。自分の中で、時代劇がいちばんすごいところなんです。エキストラから始めたかったくらいだから、撮影に入る時はどうしたらいいのかわかりませんでした。右も左もわからないし、「カツラってこんな時間かかるんだ」という驚きもあって、初めてでいっぱいでした。着物を着る時も「右からだよ」と怒られたり(笑)。本当にそんなところからのスタートでした。
――堤真一さんとは、舞台『良い子はみんなご褒美がもらえる』でがっつり共演されていましたが、撮影中にその話にはなったんですか?
まず舞台のポスター撮りがあって、その後に『決算!忠臣蔵』の撮影があって、それから舞台という順番でした。『決算!忠臣蔵』の撮影では僕が20テイクぐらいNGを出した時があって……その時に、ネガティブな印象になってしまうのかなと思ったんです。でも堤さん、打ち上げまで僕が「一緒に舞台のポスター撮りをした人」だってわかってなかったんですよ。「お前だったのか!」って(笑)。だから打ち上げで改めて「来月、舞台よろしくお願いします」と挨拶しました。
――NGがあったシーンは、どのシーンだったんでしょうか?
最初に武林唯七が登場するシーンです。セリフを切ってはいけなかったんですけど、どうしても一回息継ぎをしてしまって、大変でした。「なんでこんなことができないんだろう」って、舞台の稽古でも引きずりました。堤さんの顔を見るとそのシーンが浮かんで……「なんで、あれができなかったんだろう」って。撮影時も心は折れてました。
でも、中村監督がすごく優しくて。僕ができてなくても「カット、はいもう次」となることもあると思うんです。でも中村監督が、僕をどう良く映そうかというのを考えてくださったから、できるまで付き合ってくださったんだと思います。堤さんからは、舞台の時に「橋本、いい時代に生まれたな。中村監督に感謝しろよ」と言われました。
――実際に完成した作品を観て、どのような印象でしたか?
恥ずかしかったですね。ふだん、自分の番組も恥ずかしすぎて全然見られないんです。試写でも、自分の出番が来る時は「もうそろそろだ……」って、すごいどきどきしてました。へっちゃらな表情はしていたんですけど、マスクを顔の半分くらいまで上げて(笑)。でも作品がすごく面白かったので、後半からは自分が出てることを忘れて見入ってしまいました。
■ぜいたくしないように節約
――忠臣蔵の志士達に共感したところはありましたか?
今も昔も、お金の管理は変わらなくて、大変なんだなと思いました。観た後でも「これが実話なんだ」という余韻がすごくて、お金を大事にしようと思いました。
――ふだんからお金の管理をされているんですね。
1人の時の食事は100円のおにぎりにしたり(笑)。ぜいたくしないようにしてます!
――自分が同じような立場だったら、討ち入りをすると思いますか?
どうだろう……この作品に参加している限り、討ち入りする側なのかな。でも、志士の覚悟がすごいと思いました。本当に橋本良亮として同じ立場だったら、絶対できないですもん。僕の演じた武林唯七は32歳で、今のA.B.C-Zの僕以外の4人のメンバーと同世代なんです。「若すぎる」と思ってしまいます。
ただ僕自身は、甥っ子とか姪っ子、お母さんとかお姉ちゃんにはよく討ち入りされますよ。
――どんな討ち入りなんですか!?
「ごはんいこう」って!(笑)
――それはかわいい討ち入りですね(笑)。共演されていた横山裕さんとは何かお話をされたんですか?
撮影中というよりも、打ち上げのときに「今回はこういう感じでやらせてもらったんですけど、次の作品ではどういう感じでいったらいいんでしょうか」という話を相談しました。それで「ジャニーズ事務所は自分の個性でいけ」という感じのスタイルなんだという話になりました。
撮影所では、隣のスタジオで東山(紀之)さんが撮影していたので、1回焼肉に連れて行っていただきました。そのときに近くで舞台『滝沢歌舞伎ZERO』をやっていて、タッキー(滝沢秀明)も、『滝沢歌舞伎ZERO』の振り付けをしていた五関(晃一)くんもいたので、4人の食事会で相談もさせてもらったんですけど、東山さんも「自分なりのスタイルを貫け。周りに流されるな」と言ってくださって。僕も頑張ってる途中です。
――橋本さんが横山さんの演技にしびれたというコメントもされていましたが。
関ジャニ∞はバラエティのイメージが大きかったのに、横山くんの芝居をまじまじと観てたら、しびれました! 迫力がすごかったです。めちゃくちゃかっこよかった。「俳優の横山くんが見れた、かっけー!」って、すごくびっくりしました。普段もあんなにかっこいいのに、さらに100倍200倍かっこよくなるから、僕もそうなっていきたいなと思いました。
――周囲の方のお芝居を間近で見て、吸収したことは多かったんでしょうか。
みなさんテレビで見てる方なので、「こうやって撮影してるんだあ~」って感覚でした(笑)。(濱田)岳さんのドラマもよく拝見させてもらってるんですけど、怒鳴ってる時とか、めちゃくちゃかっこいい。吸収したいなという気持ちで、いろいろな方、特に堤さんの芝居を見せてもらっていました。
――印象強かったのはどんな芝居でしたか?
横山くんはシリアスなシーンが続くので、後輩ながら「こういう顔できるんだ」と、表情を勉強していました。先輩の背中を見て、「僕も後輩にこうやって伝えたい」ということも勉強させてもらいました。
――『決算!忠臣蔵』をやり終えた今、改めてどのような気持ちでしょうか?
今はとても嬉しい気持ちでいっぱいなんですけど、ポスターを見ても、「ここにいていいのかな」と思ったりするんですよ。本当にこういう機会をいただけたのは光栄なことだし、成長できる場所でもあるから、「ここにいてもおかしくない存在でいたい」という気持ちがあります。向上心が生まれました。今を生きたいと思います!
■橋本良亮
1993年7月15日生まれ、千葉県出身。2012年にA.B.C-Zのメンバーとしてメジャーデビュー。これまでの出演作に、ドラマ『スプラウト』(12年)、『魔法★男子チェリーズ』(14年)、『ぼくらのショウタイム』(19年)、映画『劇場版 BAD BOYS J -最後に守るもの-』(13年)、主演舞台『ルードウィヒ・B 〜ベートーヴェン歓喜のうた〜』(14年)、『コインロッカー・ベイビーズ』(16年、18年)、『デストラップ』(17年)、『蜜蜂と遠雷』(18年)、『良い子はみんなご褒美がもらえる』(19年)など。公開待機作にA.B.C-Z初主演映画『オレたち応援屋!!』(2020年公開)がある。
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