キングジムは11月20日、都内でポータブル翻訳機『「ワールドスピーク」HYP10』を発表し、12月6日から大手量販店や文具取扱店で販売を開始する。無線LANとモバイルデータ通信に対応し155言語に対応するほか、オフラインでも主要な17言語の翻訳が可能。言語名や国名を話すだけで瞬時に翻訳言語を選択できる。
インバウンドに備え高まる翻訳機の需要
キングジムは今年7月より、宿泊施設や庁舎、金融機関などの窓口対応を行う法人ユーザーをターゲットに、2台1セットで使用する8型ディスプレイを備えた据え置き型の対話型翻訳機『「ワールドスピーク」HYK100』を販売している。
キングジムの亀田 開発本部長は、このHYK100を導入・検討したユーザーからの声には、ある共通点があったと述べる。それは「増え続ける訪日外交人や、日本在住の外国人に対して、相手の言語でコミュニケーションが取れる人材の確保が難しい」という点だ。地方都市ほどこの傾向は顕著であり、「接客業務や屋外で使えるものが欲しい」という要望は大きかった。
キングジムは、翻訳機需要が今後一層高まると想定。このたびポータブル翻訳機『「ワールドスピーク」HYP10』を新たに発表。「豊富なラインナップを取り揃え、用途に合わせた提案を行うことで、翻訳機市場の拡大・獲得に努めていくとする。
オフライン翻訳と音声コマンド機能がポイント
『「ワールドスピーク」HYP10』の最大の特徴は、オンラインで翻訳機最多の155言語に対応すると同時に、主要な17言語ではオフライン翻訳も行えること(※日本語は15言語)。これによって、電波の届かない飛行機内や山間部などでも翻訳が可能となる。
もう1つの特長は、音声コマンド機能の搭載だ。155言語の中から画面をスクロールさせながら翻訳言語を探すのは大変だが、本体中央下部の「マジックホームボタン」を押し、言語名や国名を話せば、瞬時に翻訳言語を選択することができる。
翻訳言語を選んだあとは、話す言語に合わせた国旗の下部にある物理ボタンをワンプッシュして翻訳機に向かって話すだけ。音声認識が終わると、自動的に翻訳されたフレーズが音声として再生されるとともに、フレーズが文章として表示される。高精度の翻訳を実現するため、複数の翻訳エンジンから各言語に最適なエンジンを自動選択するという。
翻訳した内容は最大50件まで履歴として残るだけでなく、よく使うフレーズを「お気に入り」として登録し、店舗のよいコミュニケーションを図ることができる。
通信方法に応じた4モデルをラインアップ
ラインアップは通信方法に応じて4モデル。IEEE802.11b/g/n(2.4GHz)対応のWi-Fiモデルが26,000円(税別)、2年間データ通信使い放題の国内専用SIM搭載モデルが56,000円(税別)、グローバル対応SIM(1GB)モデルが36,000円(税別)、グローバル対応SIM(3GB)が51,000円(税別)となる。
国内線用SIMはソフトバンク、グローバル対応SIMはタタ・コミュニケーションズの回線を利用。データ通信使い放題期間終了後や、規定のデータ通信容量を使い切った場合は、キングジムのWebページから容量の追加も行える。またテザリングにも対応しており、モバイルWi-Fiルーターのように利用することもでき、nano SIMの差し替えにも対応する。また、オプションとして、専用ケース&ハンドストラップも2,000円(税別)で販売される。
バッテリーは2,500mAhで、連続動作時間は30時間。インターフェースとしてmicroUSB端子と外部音声入出力端子を備え、有線であればヘッドセットなども利用可能。Bluetoothを利用して外部機器から音声を出力することもできる。
外国人の方とのより良いコミュニケーションを目指して
キングジム 商品開発部の高尾氏は、主な利用シーンとして「百貨店・ショップなどの立ちながらの接客を行う売り場」「交通機関・観光施設・寺社仏閣やタクシーなどの屋外での使用が想定されるケース」「海外出張先・外出先などの持ち運び」「ネイティブ発音の学習ツール」などを紹介。
「日本への旅行を目的とする外国人だけでなく、居住する外国人も増えており、言葉の壁が身近な問題になりましたが、改善する余地はまだまだあると思います。法人利用から個人利用まで、外国人の方とのより良い関係性が築けることを願っています」とまとめた。