翻訳機のコンシューマ市場がにぎやかになってきました。今夏、据え置き型の翻訳機「ワールドスピークHYK100」を世に出したキングジムですが、第2弾として、海外にも手軽に持って行ける手のひらサイズのポータブル翻訳機「ワールドスピークHYP10」を12月6日に発売します。価格は2万6,000円から(税別、以下同)。キングジムでは「対応言語は155言語に拡大し、競合製品を抜いて国内最多となりました」とアピールしています。
どんな製品なの?
まずは製品の概要について紹介しましょう。ワールドスピークHYP10は、ワンタッチ操作で外国語を翻訳できるポータブル翻訳機。本体の会話ボタンを押し、本体に向かって話すと翻訳結果が画面に表示され、音声も流れる仕様です。
翻訳したい2つの言語は画面をスクロールさせて選ぶか、「日本語とポルトガル語」(言語名)や「日本とブラジル」(国名)といったように音声コマンドでも選択が可能。各言語に最適な翻訳エンジンを自動で選択し、高精度で翻訳できるのが特徴となっています。自動翻訳の分野で先行するオランダのベンチャー企業Travis社の技術を活用しています。
心強いのはオフライン翻訳にも対応していること。英語、中国語など主要17言語のよく使われる言い回しや会話であれば、通信を行わない状態でも翻訳可能です。飛行機内で、あるいは電波の届かない地下や山奥でも、利用できるというのはありがたいですね。
Wi-Fiでもモバイルでもデータ通信が行える設計で、ソフトバンクの国内専用SIMカード、および178の国と地域で使用可能なインドの通信会社タタ・コミュニケーションズのグローバル対応SIMカードに対応しています。
本体ラインナップは、本体のみ / グローバル対応SIM(1GB)付モデル / グローバル対応SIM(3GB)付モデル / 国内専用SIM(2年間通信使い放題)付モデルの4機種で展開します。なお国内専用SIMの場合、月の通信容量が2GBを超えると月末まで通信速度が最大128kbpsに制限されるとのこと。また適宜、手持ちのSIMカードを差し替えて使うこともできるとの話でした。
キングジムでは「キングファイル」「テプラ」といった主力商品で培った販売ルートを活かして、このワールドスピークHYP10を大都市だけでなく、地方のユーザーにも提案していく方針。法人・個人を問わずに販路を拡大していく、との説明でした。
「ポケトーク」にどう対抗する?
質疑応答には、常務取締役 開発本部長の亀田登信氏が対応しました。
このカテゴリで先を行くのはソースネクストの「ポケトーク」シリーズで、いまや市場の95%を独占している状況です。そこで後発となるワールドスピークが目指すシェアの割合について聞かれると、亀田氏は「現在はソースネクストさんの独り勝ちです。私たちは7月にスタートしたばかり。これまでは法人の窓口業務という、限られたお客様を対象にしていました。でも、まだ拡大している最中の市場。今後10%でも獲れたら大きなものです。まずはキングジムのデジタル文具の中で、ひとつの製品カテゴリとして確立するところまで規模を拡大していきます」と説明しました。
実際に使ってみた
短時間ですが、実際に製品を使ってみました。製品サイズ、ディスプレイの大きさはソースネクストの「ポケトークW」(2018年9月発売、2.8インチ画面)に近い、このワールドスピークHYP10。簡単な挨拶やひと言を翻訳できるだけでなく、長いセンテンスにも対応しているのが好印象でした。
またポケトークWではボタンを長押ししている間に喋る必要がありましたが、ワールドスピークHYP10では、最初にボタンを短押しするだけ。喋り終えると自動で翻訳が始まるため、より便利な印象があります。なお対応言語はポケトークWは113言語、ワールドスピークHYP10は155言語となっています。
これはポケトークWにはない機能ですが、ワールドスピークHYP10はモバイルルータとしても利用できる仕様です。テザリングをオンにすれば、手持ちのスマホやPCをネットにつなげられるため、特に海外で頼れる存在となりそう。現在は海外渡航者を対象に、旅行会社がモバイルルータを貸し出すサービスがありますが、今後はこのワールドスピークHYP10を貸し出すサービスなども始まるのではないでしょうか。