10月31日に発生した、沖縄・首里城の火災。ネット上では様々なデマが拡散し、「犯人は僕です」などと嘘の自白動画をアップした“不謹慎YouTuber”まで出現した。このように、犯人を名乗る虚偽動画はどのような罪に問われるのか。井上圭章弁護士(弁護士法人グラディアトル法律事務所)に解説してもらった。

――首里城火災に便乗して、「犯人は僕です」と嘘の証言動画をアップしたYouTuberが現れました。これは、どのような罪に問われるのでしょうか。

偽計業務妨害罪や軽犯罪法違反といった罪に問われる可能性があります。

実際は、首里城火災の犯人(放火犯)ではないにもかかわらず、「犯人は僕です」などと嘘を言い、それにより、たとえば消防署職員や警察官が、本来であれば必要でない業務をすることによって、本来の業務が妨害される危険がある場合や、YouTube側が動画の件で捜査を受けるなどして業務が妨害される危険がある場合には、偽計業務妨害罪(刑法233条:3年以下の懲役又は50万円以下の罰金)に問われる可能性があります。

また、偽計業務妨害罪が成立しない場合であっても、「犯人は僕です」と嘘の動画をアップしたことが「虚構の犯罪の事実を公務員に申し出た」といえる場合や「他人の業務に対して悪戯などでこれを妨害した者」といえる場合、軽犯罪法違反(拘留又は科料)に問われる可能性があります。

――また、このようなデマ情報をSNS上で拡散させた第三者は、どのような罪に問われるのでしょうか。

デマ情報をデマであると知りつつSNS等で拡散(引用、リツイートなど)させた場合、その内容にもよりますが、拡散行為そのものが犯罪となる場合があります。

たとえば、デマ情報が人の社会的な評価を低下させるような内容であり、拡散行為そのものによって人の社会的な評価を低下させるような場合、名誉棄損罪や侮辱罪に問われる可能性があります。

また、デマ情報が人の業務や信用を妨害・毀損するような内容であった場合、拡散行為そのものがご有無や信用を妨害・毀損するような場合ですと、業務妨害罪や信用棄損罪といった罪に問われる可能性があります。

監修者: 井上圭章(いのうえよしあき)

弁護士法人グラディアトル法律事務所所属。弁護士法人グラディアトル法律事務所所属九州国際大学法学部卒業後、京都産業大学法科大学院修了。大阪弁護士会所属 。「労働問題」「男女トラブル」「債権回収」「不動産トラブル」などを得意分野とする。