④総務へのRPA導入事例
企業には多くの部署があり、各部署のことは互いによく知らないという場合がほとんどです。総務は社員が働きやすい環境を整え、スムーズな業務をサポートする仕事で、他にも設備品の交友や会社の建物管理、福利厚生制度の整備や社内制度の見直し、さらに会社主催のイベント運営などを行います。どの部署にも属すことのない総合的な仕事を引き受ける、いわば会社の便利屋的存在の総務でのRPA導入の事例を紹介します。
導入理由・現状の課題
BPOやコールセンターのアウトソーシングを手掛けるビーウィズの総務部の業務は繰り返しの作業が多く、RPAが活躍する可能性が大いにありました。それまで力業で進めていた総務部の業務のうち、ワークフローの処理をRPAで行うことにし、実際に実行しています。ワークフローの処理は求められるスキルはさほど高くないものの、トータルで見ると多くの時間がかかり、総務部の課題になっていたのが導入の理由です。
導入効果
RPAツールのGaroonを導入した結果、人為的なミスを防ぐことができ、年間ベースで100時間の工数削減につながり、貴重な社員のリリースを別の業務にあてられるようになりました。結果として業務の効率化が進み、社員は技術を使って他社よりも価値のある提案ができるようになりました。ビーウィズではRPA導入に関してのノウハウだけでなく、人間が行う業務の工程も含めた整理や提言を外販する準備を整えています。
⑤人事へのRPA導入事例
社員の入社や退社といった情報を顧客企業に代わって自治体に申請する業務を手掛ける人事労務コンサルティングのTMCの事例を紹介します。TMCは栃木県那須塩原市にある会社で、NTT東日本が開発したロボティックはプロセス・オートメーションなどを導入し単純作業を任せ業務効率の向上を図っています。手書きの書類の読み取りからデータ登録、申請後の完了報告までをほぼ自動で済ませることができます。
導入理由・現状の課題
MTCでのRPAツール導入の理由は多くの企業が人手不足によって総務事務をアウトソーシングし、多大な仕事に追われるようになったことと、人手による入力ではこなせる量に限りがあったことです。自治体が先行して行っているRPAを中小企業で導入し、活用している事例は珍しく注目を浴びています。
導入効果
TMCでNTT東日本のロボティック・プロセル・オートメーションを導入したことにより、入力スピードがアップしただけでなく、ミスが少なくなり、作業効率は人の10~60倍になりました。夜間にシステムを動かして自動で作業を進め、日中に人の目で確認することにより、生産性が大幅に向上しています。2カ月ほどの試験運用で誤作動の有無などを確認し、本格導入を行っています。
栃木の社会保険労務士法人がAI-OCR+RPAで月間1100時間を削減
⑥保険へのRPA導入事例
一般的にはコンサルティング企業やSIerによる全体最適化が主流のRPA導入ですが、保険会社のあいおいニッセイ同和損害保険を含めたMS&ADインシュアランスグループでは一部の部署にRPAの導入を開始しており、一定の成果を得ています。人材育成を並行させ、業務再摘果の目的を明確にすることで現場の抵抗をはねのけRPA導入に踏み切ったあいおいニッセイ同和損害保険の事例を紹介しましょう。
導入理由・現状の課題
あいおいニッセイ同和損害保険のRPA導入の理由としてはデジタル社会・将来の外部連携を見据えたデータ蓄積・分析基盤を段階的に構築していくためであり、自ら変革を生み出す企業文化の構築を目指すためでもあります。RPA導入は数年前から課題として認識していた紙ベースのやり取りや二重入力業務の無駄を払拭し、事務管理部門をフロントに移行させ新たな付加価値を生み出すことによって新しい資源を生み出すのが目的です。
導入効果
あいおいニッセイ同和損害保険の経理部では作業の上流からデータ化を実現することで約4万時間の削減に成功しています。しかし当然現場の抵抗感は根強く、自らの業務の企画立案をし、継続的業務改革を実現させることに労をいとわず取り組むことが必要だとしています。
⑦営業へのRPA導入事例
RPAを営業へ取り入れている企業もあります。営業は企業活動の中でも企業の売り上げに関する重要な部署で常に人間を相手にしている人間臭い部分でもあります。一見RPAとは無関係の分野に思える営業ですが、RPAを活用し、作業の負担軽減を図ることが可能です。キャノンマーケティングジャパンとCogent Labsが共同で2017年に横浜銀行に提供し、営業面の強化を図った事例を紹介します。
導入理由・現状の課題
横浜銀行では銀行を取り巻く経営環境が厳しく、本部事務の効率化や行員の生産性向上による営業面の強化が課題でした。しかし、RPAを導入し業務の効率化を推進していくためには、紙から手入力するインプット業務の効率化を進めなければならず、キヤノンMJとコージェントラボはイメージエントリーシステムと手書きAI OCRエンジンを連携するソリューションの構築を提案し、提供することになります。
導入効果
イメージエントリーシステムと手書きAI OCRエンジンを連携するソリューションの導入後はインターネットバンキングや投資の申込書など年間約24,000件のデータに関する作業をデジタル化、自動化することにより効率的な作業が実現します。これにより横浜銀行では約40%の時間短縮を目指し、さらに対象帳票の拡大を行って、業務効率化を推進していくことでコスト削減を拡大していく予定です。