スノーピークは、2020年4月に長野県白馬村で体験型複合施設「Snow Peak LAND STATION HAKUBA」(スノーピーク ランドステーション白馬)をオープンする。11月8日、「スターバックス」や「神楽坂 石かわ」、「白馬村観光局」の代表を招き、白馬山麓エリアで"野遊び"を体験できるこの新ランドマークの詳細が発表された。
白馬山麓エリア観光のハブを担う
白馬山麓エリアといえば、ウィンタースポーツのメッカとして知られ、ホワイトシーズンのイメージが強い日本有数のリゾート地だ。海外からもたくさんの観光客が訪れ、そのパウダースノーを楽しんでいる。
だがその定着したイメージゆえか、グリーンシーズンになると白馬を訪れる観光客は大きく減少する。さらに、ウィンタースポーツなどを楽しむ若年層も年々減少傾向にあり、白馬は"冬の白馬"というイメージからの脱却を真剣に考えてきた。
この白馬山麓エリアのランドマークとして2020年に開業するのが、スノーピーク初の体験型複合施設「Snow Peak LAND STATION HAKUBA」(スノーピーク ランドステーション白馬)だ。
白馬はウィンタースポーツだけに限らず、グリーンシーズンにも海以外のすべてを楽しめるさまざまな"野遊び"コンテンツを有している。ランドステーション白馬を、これらの魅力を広く発信するためのコミュニティハブとし、白馬をオールシーズンのマウンテンリゾートへ転換させることが最終的な目的といえる。
スノーピーク 代表取締役社長 CEO 山井太氏は、「白馬という土地が持っている自然背景やスケール間、地元の方々の熱意・ポテンシャルからしても、必ずや世界のトップリゾートになると五感で感じており、投資を決断いたしました」と経緯を説明する。
そして「欧米から白馬に人を呼ぶという意味がこの施設にはありますし、逆に我々が白馬に根を下ろすことによって白馬に来られたインバウンドの方々が本国に帰ってからスノーピークの商品に触れていただくというような、双方向のメリットが発生すると考えております」とスノーピークが施設をオープンする意図について述べた。
同施設の設計は、新国立競技場の設計も手掛けている建築家の隈研吾氏が担当。そのコンセプトを「人間が自然に帰っていくという新しい時代を象徴するような建物」と説明するとともに、「20世紀から21世紀の住み方に代わろうとしているいま、山井さんは『こういうもので外に出ていければかっこいいな』と思えるものを作られています。
建築に限らず、人間が自然に向かっていく、そういう総合的なムーブメントのリーダーだなと感じます」とスノーピークの山井氏の姿勢を評価した。
ランドステーション白馬で提供される施設とエリア
スノーピーク ランドステーション白馬は、物販、飲食、野遊び(宿泊)、イベントエリアで構成される。スノーピークは、物販エリアに国内最大規模となる直営店を出店。キャンプ用品やアパレル用品など、同社製品を豊富に取りそろえるほか、白馬限定商品の販売も予定しているという。
飲食エリアには、「スターバックス」が初のフィールド近接カフェを、飲食店としてミシュラン3つ星獲得店「神楽坂 石かわ」などを経営する一龍三虎堂がレストランを展開する。スターバックス コーヒー ジャパンの水口 代表取締役 CEOは「コーヒーをアウトドアで飲むとおいしいんですよ、この体験をお客様に伝えていきたいと思っています」と述べるとともに「いずれアウトドアで楽しめるコーヒーセミナーなどもやっていきたいと考えています」と抱負を話した。
野遊びエリアは、テントや寝袋を利用してキャンプ体験が可能で、白馬の自然を楽しむ拠点となる。隈氏が設計したモバイルハウス「住箱 -JYUBAKO-」も2つ設置されており、宿泊施設として利用することも可能。さらに、アウトドア体験を楽しめるキャンプ用品のレンタルサービス「SnowPeak To Go(仮称)」を利用した「手ぶらCAMP」も提案する。
イベントスペースは、スノーピークが重視する焚き火を楽しんだり、地元の方とともに企画したイベントが行われたりするスペース。地元の野菜・畜産農家に出店してもらうマルシェや、草木染めのワークショップなどを展開していき、地域や自然とつながるスペースとして使われるそうだ。
"冬の白馬"からオールシーズンのマウンテンリゾートへ
スノーピークの山井氏は、白馬の本質的な魅力、そしてスノーピークが果たすべき役割を来場者に伝える。
「白馬の本質といえば、一番は人です。そして自然や食材文化など色々な魅力があると思います。スノーピークの役割は、白馬の持っている自然とつながるようなデザインをさせていただいて、白馬の魅力を価値として可視化できるようにすることだと思っています」
白馬は国内外に知られる著名なリゾート地である一方、コンテンツが各地にバラバラに点在しており、観光客に対して十分なアピールや、観光の動線を提案できていなかった。
ランドステーション白馬が観光のハブ、地域とのハブとなることで、オールシーズンのマウンテンリゾートとして国内外の知名度をあげていくことに期待したい。