ベンキュージャパンは11月12日、日本初上陸となるAndroid搭載ビジネス向けスマートプロジェクター「EH600」「EW600」「EW800ST」を発表。11月22日から発売します。価格はオープン、店頭予想価格(税込)はEH600が11万円前後、EW600が8万円前後、EW800STが12万円前後、WDC20が17万円前後です。

合わせて、プロジェクターや大画面モニタの関連アクセサリーとして、PCやスマホと接続して最大4画面の同時ワイヤレス表示を実現する「InstaShow S WDC20」(以下、WDC20)も発表しました。こちらは12月24日の発売です。

  • Android内蔵DLPプロジェクターのEH600。EW600とEH800STは兄弟機

  • 4Kディスプレイに対して、最大4台のPCやスマホの画面(フルHD)をワイヤレス転送するWDC20。製品にはPC用アダプタは2台分が同梱され、追加アダプタが必要な場合はオプション購入となります

スマートプロジェクターのEシリーズは、OSとしてAndroidを搭載。本体にはUSBポート×2基を備え、USBメモリに格納した幅広いコンテンツやOffice文書(Word、Excel、PowePoint、PDF)の再生が可能です。

加えて、1つのUSBポートにコンテンツを保存したUSBメモリ、もう1つのUSBポートに無線キーボードおよびマウスのレシーバーを接続すれば、ドキュメントの編集にも対応できます。なお、Google Playには対応していませんが、インストール用APKファイルを用意すれば、アプリのインストールも可能とのことでした。

再生側の機器とのワイヤレス接続にも対応しており、専用アクセスポイントの設定を済ませれば、PC、iPhoneやiPad、Android端末の画面をワイヤレスで投影可能です。

  • ベンキュージャパンのJimmy Fan氏

  • デモンストレーションはEW600で。写真で「有線」なのは電源ケーブルだけ。2つのUSBポートには、USBメモリとキーボード・マウスのUSBレシーバーが接続されていました

  • EW600の背面。BenQロゴの部分に無線LANが入っており、ドングルを接続するタイプの製品と比べて、余分な出っ張りがないことを強調しています

  • 実機でのプレゼン画面。EW600に接続したUSBメモリにプレゼン用ファイルが入っていて、EW600にプリインストールされたAndroidアプリのWPS Officeで表示しています

  • ライバル社との比較。ドライバレスで多くのファイル形式を扱えるのは有効ですが、Android 6というのは少々古めで、内蔵ストレージが16GBと少な目な点が気になりました(実用上はまず問題ないでしょう)

EH600、EW600、EW800STの違いは、解像度、最大輝度、投影方式です。EW600はWXGA(1,280×800ドット、最大3,600ルーメン)、EH600がフルHD(1,920×1,080ドット、最大3,300ルーメン)。EW600STはWXGA(1,280×800ドット、最大3,300ルーメン)ですが、スローレシオ「0.49」という短焦点が特徴。85センチの投影距離で、80インチの画面を実現できます。短焦点モデルは、例えば教室への常設が難しい教育機関に向いているとアピールしていました。

  • EW800ST。多くの学校では、おもに予算の関係で全教室にプロジェクターを配置するのは難しいのが実態です。そのためベンキューでは、持ち運びやすく設置しやすい短焦点モデルを推薦しています。短焦点モデルなら、教室の教壇に置けそう

  • 投影中のEW600(左)とEW800ST(右)レンズ部分が違うのがわかります

上述したワイヤレスアダプタ、WDC20のデモもありました。WDC20のパッケージに同梱されるパソコン用のワイヤレス送信アダプタを使って、受信機からディスプレイというデータの流れです。パソコン側には送信アダプタのUSBとHDMI端子を接続し、このうちUSBは、ディスプレイ側のタッチ操作でパソコン操作をするための接続です(Windows環境のみ)。

会場では、VAIO Liberta(いわゆる電子黒板)と接続して、パソコンとスマホの計4台からの画面表示をデモ。加えて、VAIO Liberta同士をつないで、遠隔でも互いの画面書き込みをリアルタイムで反映し合えたり、QRコードを使ってVAIO Libertaの画面を共有したりも可能です。

  • WDC20のワイヤレスアダプタをパソコンに装着したところ。HDMI映像を表示するので、ドライバレスで使えるのが魅力です。USBは電源供給のほか、Windows10のタッチ操作に対応するために接続します(Windowsの標準ドライバで動作)

  • フルHD×4画面表示を行った例。左下は画面のタッチ操作でWindowsのメニューを出しています

4K DLPの日本シェアは過半数

ベンキュージャパンの菊池社長は、2018年にB2B市場に参入すると宣言してから、レーザーブロジェクターやサイネージ関連のソリューション、インタラクティブパネルと投入してきて、今回はスマートプロジェクターという日本初の製品を投入すると述べました。

過去10年間はB2C市場を中心にビジネスを展開し、売り上げを2倍に成長させましたが、B2B製品の拡充によってワンストップディスプレイソリューションを実現するとアピールします。

  • ベンキュージャパン 代表執行役社長 菊池正志氏

  • 2009年からの10年間、ベンキュージャパンの売り上げを2倍に伸ばした主力はコンシューマー向け製品。2010年からは、B2B向けの製品事業を伸ばす計画です

また、VAIO LibertaやGoogle Jamboardを取り扱うなど、パートナーとのアライアンスも強化し価値あるモデルを積極投入するなど、ディスプレイビジネスの拡大に向けた取り組みを紹介しました。コンシューマー向けも引き続き、グラフィックス向けやeスポーツ向けの液晶ディスプレイなど実績ある製品を展開していくとのこと。

  • 今回のEシリーズ(スマートプロジェクター)の投入によってB2B向けラインナップをそろえ、パートナーと一緒に成長する戦略を描きます

ベンキュー アジアパシフィック社長のJeffrey Liang氏は、商品投入のバックグラウンドを紹介。ベンキューが考える「ビジネスマンに要求されるスキル」と、早いうちに学生が身に着けたほうがよいスキルは同じと述べます。そのためには、STEM教育(科学・技術・工学・数学)、Project-Based Learning(課題解決型学習)が重要であり、効果的に学ぶためにも今回の新モデルのようなプロジェクターや電子黒板ソリューションが大切とアピールしました。

  • ベンキュー アジアパシフィック社長 Jeffrey Liang氏

  • ベンキューが考える「仕事で成功するための6つのスキル」。若い人に求められるスキルもまったく同じ

  • 学校現場において、先の6スキルを身に着けるためには、STEM教育とProject-Based Learningが重要

  • ベンキューの実績として、DLPプロジェクター市場での高いシェアを紹介。日本での4K DLPプロジェクター市場では過半数に達しています