アイリスオーヤマは11月13日、テレビ事業への本格参入を発表。これまでテスト販売してきた液晶テレビ「LUCA」シリーズの新製品として、4K/HDR表示に対応し、独自の音声認識システムを搭載した専用リモコンが付属する7機種を、11月20日から順次、家電量販店やホームセンターなどで発売する。「テレビをつけて」や「1チャンにして」と声をかけるだけで操作でき、インターネット環境やスマートスピーカーがいらない点が特徴だ。
ラインナップは、画面周りのフレーム幅を約1mmまで抑えた「ベゼルレスモデル」が、43V型、49V型、55V型、65V型の4機種で12月5日発売。スピーカーを本体前面に搭載し、高音質技術も採用した「フロントスピーカーモデル」は、43V型、49V型、55V型の3機種を用意し、11月20日に発売する。想定売価は以下の通り。
ベゼルレスモデル(12月5日発売)
- LT-65B628VC(65V型) 税別188,000円前後
- LT-55B628VC(55V型) 税別128,000円前後
- LT-49B628VC(49V型) 税別118,000円前後
- LT-43B628VC(43V型) 税別99,800円前後
フロントスピーカーモデル(11月20日発売)
- 55UB28VC(55V型) 税別134,800円前後
- 49UB28VC(49V型) 税別124,800円前後
- 43UB28VC(43V型) 税別104,800円前後
いずれもチューナーは地上/BS/110度CSデジタルを2系統搭載。別売のUSB HDDを最大2台追加して放送番組を録画できる(2番組同時録画は非対応)。BS4Kチューナーは非搭載だが、他社製のBS4Kチューナー製品を別途購入してHDMI接続すると、新4K衛星放送の番組が見られる。2020年春をメドに、BS4Kチューナー内蔵モデルを発売する計画もあるという。
「ホムセンで売れるとは」テスト販売で10万台出荷、次なる一手は“音声操作”
アイリスオーヤマは、「総合家電メーカー」としての利益拡大を目指しており、白物家電を中心に事業展開。アイリスオーヤマの2018年度売上実績1,550億円のうち、家電(LED照明を含む)の売上は810億円で構成比52%となり、「はじめてアイリスオーヤマの半分以上の売上を、家電で作れた。2018年度は、家電分野を非常に大きく成長させることができた」(アイリスオーヤマ 家電事業部 統括事業部長 石垣達也氏)。2019年度計画では、家電・LED照明を合わせた売上1,100億円(構成比58%)を目指し、より大きなビジネスに育てたい考えだ。
2018年11月に、「黒物家電」の2019年本格参入に向けて、4K対応モデルを含む液晶テレビ「LUCAシリーズ」のテスト販売を開始。「色鮮やか、目に優しい」をコンセプトにしたシリーズで、2019年9月には新たに4K液晶テレビ7機種を発売した。家電量販店やホームセンターで1年間テストマーケティングを行い、トータルで10万台を出荷。直販サイト「アイリスプラザ」でのネット通販も行い、ユーザーの声を集めた。
石垣氏は「(ホームセンターでは)正直売れるとは思っていなかった。不安の方が強かった」と話すが、「キレイな画質の大画面テレビがリーズナブルな価格で買える」ことを、30〜40代のファミリー層や、テレビ買い換えを検討している50代以上の顧客層に向けて打ち出した結果、販売拡大につながったという。今回発表した新製品については「(音声操作モデルは)初年度5万台の出荷を目指す。音声操作が全ての顧客に必要なわけではないと考えており、音声操作非対応のモデルもこれまで通り販売し続ける」という。
今回の液晶テレビ新モデルは、独立した「音声操作リモコン」が付属し、インターネット環境やスマートスピーカーを使わずに、音声によるテレビ操作を実現。「ねえ、るか」、または「るか、てれび」と話しかけることで音声操作モードが使える状態になり、続けて「テレビをつけて」(電源オン)、「音大きく/小さく」(音量操作)、「1チャンにして」(チャンネル1を選局する)などと話しかけると、それぞれに対応した操作が行える。
例えば、「買い物帰りや乳幼児連れで両手が塞がっているとき」や、「リモコンが見当たらないとき」に、手軽に操作できるとしている。音声操作リモコンの本体サイズは68×29×85mm(幅×奥行き×高さ)、重さは約60g。なお、通常のリモコンも付属する。
音声操作リモコンには、内蔵マイクと、ニューラルネットワークやディープラーニングを用いて開発した独自の音声認識システムを搭載。あらかじめ計27種類のシンプルな言葉(ワード)と、ワードに対応する27の動作が設定されており、聞き取った指示内容を赤外線でテレビに送ることで、オフラインでの音声操作を実現している。スマートスピーカーと比べて音声認識から操作までの応答が速いことも特徴。「寝起き」や「酔っ払った状態」のイントネーションも認識できるという。将来的には、「方言などなまりのある呼びかけにも対応できる音声リモコンを開発したい」としている。
テレビ本体は、いずれも4K/3,840×2,160ドットのIPSパネルを搭載し、4K/HDR表示に対応する。コントラスト比は、ベゼルレスモデルの43V型と49V型が1,100:1、55V型と65V型が1,300:1。フロントスピーカーモデルの43V型と49V型が1,300:1、55V型が4,500:1。応答速度は9ms(55V型フロントスピーカーモデルのみ、6.5ms)。視野角は上下左右約178度。
HDMI入力は3系統で、最高4K/60Hzまで入力可能(65V型ベゼルレスモデルのみ、4系統)。AV入力も1系統備える。音声出力はステレオミニと光デジタル音声が各1系統。Ethernetも1系統備える。スピーカー出力は10W×2ch。