毎日新聞社とサードウェーブは11月1日に一般社団法人「全国高等学校eスポーツ連盟(JHSEF:ジェセフ)」を設立。11月7日には記者向けの発表会を開催し、北米を中心にeスポーツを通じた教育機会を開発・提供する「北米教育eスポーツ連盟(NASEF)」との提携に関する基本合意契約を締結した。
JHSEFは、「eスポーツがもたらす教育的価値を啓発し、eスポーツを通して高校生の成長に寄与し、社会で活躍する人材育成を支援する」ことを目的に設立した一般社団法人。理事長には文部科学省でスポーツ・青少年局長などを歴任した久保公人氏が就任。理事には毎日新聞社 取締役の広田勝己氏、毎日新聞社 執行役員の岩沢武夫氏、サードウェーブ 副社長の榎本一郎氏、第1回全国高校eスポーツ選手権で大会プロデューサーを担当したサードウェーブの大浦豊弘氏、牧田総合病院 脳神経外科 脊椎脊髄センター部長の朝本俊司氏が就任する。また、尚美学園大学大学院 教授の華山宣胤氏が監事を務める。
JHSEFの考えるeスポーツの教育的価値とは、性別・障がいの有無・身体能力などの違いを乗り越えてチャレンジできる「ユニバーサルスポーツとしての価値」、戦略/戦術を練る力や身体知を「鍛える頭脳と運動能力を向上させる価値」、チームコミュニケーションやグローバルコミュニケーションの機会を得ることによる「コミュニケーションを向上させる価値」の3つ。これらの価値を啓発しながら、eスポーツが日本の新しい文化として社会に根付くことを目指す。
活動の概要としては、「ユニバーサルスポーツとしての可能性の検証と発信」「eスポーツが内包する課題克服への取り組み」「高校生の国際性を育む活動を推進」「将来的に全国高校eスポーツ選手権を主催し、競技者の裾野拡大に貢献」「高等学校等のeスポーツ部発足及び活動支援」を掲げた。詳細な活動内容についてはこれから検討を進めていく。
発表会では、理事長に就任した久保氏が「2019年3月に毎日新聞社とサードウェーブが開催した全国eスポーツ選手権を通じて1つの可能性に気づきました。それはeスポーツがユニバーサルスポーツだということ。性別の違いや障がいの有無を乗り越え、多くの人が公平な環境で挑戦できるのがeスポーツ最大の魅力だと考えています。また、eスポーツを通じて戦略的思考や経験を得られること、グローバルなコミュニケーションの機会があることも魅力でしょう。ダイバーシティが重視される今、高校生がeスポーツに真剣に向き合える環境を整え、提供することは大きな意味を持つと考えます」と、eスポーツの教育的魅力を話した。
理事の大浦氏は、「ほかの部活動と同様に、どこの学校にもeスポーツ部があって、全国大会への出場が決まったら地元から応援されるような時代をつくっていきたいと考えております。そのためにも、eスポーツの教育的価値、社会的意義を広く検証し、啓発していくことが使命。ただ、我々だけで実現できるとは考えておりません。加盟してくださる会員様を広く募集する予定です。ご支援ご協力よろしくお願いいたします」と意気込みを述べた。
また、日本スポーツ協会の公認スポーツドクターでもある朝本氏は「私はプロからアマチュアまでさまざまなスポーツ選手を診ていますが、既存のスポーツとeスポーツはなんら変わりがないものと認識しております。知人にはeスポーツに高い関心を持つドクターも少なくありません。多くの経験を有するスポーツのトップチームに所属するドクターにも協力してもらい、医学的見地からサポートしていきたいと考えております」とドクターの立場からみたeスポーツへの考えを述べた。