インターネットニュース配信サービスの「Yahoo!ニュース」と、書店員が勧めたい本を投票で決める「本屋大賞」が連携して実施する第2回「Yahoo!ニュース 本屋大賞 ノンフィクション本大賞」の発表会が6日、都内で行われ、保育士でライター・ブレイディみかこ氏の『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(新潮社)が大賞を受賞した。
同賞は、良質なノンフィクション作品を人々に伝え、優良な書き手や出版社、書店の支援を目的で2018年に設立。第2回となる今年は、2018年7月1日から2019年6月30日の間に日本語で出版されたノンフィクション作品全般(海外作品の翻訳本は除く)を対象に、書店員による投票でノミネート作品6作、さらにその中から大賞1作が選ばれた。大賞受賞者には、副賞として取材支援費100万円が贈呈される。
タイトルは、イギリス南部の都市ブライトンで生活する中学1年生の息子が、ノートに書いていた落書きの言葉。日本人のパンクな母(ブレイディ氏)と、元銀行員のダンプ運転手であるアイルランド人の父との間に生まれた息子は、様々な価値観が凝縮された「元・底辺中学校」で日々貧富の差や差別に直面し、時にはアイデンティティに悩みながら、パンクな母と共に考え、乗り越えていく。
トロフィーを受け取ったブレイディ氏は「本当に驚きました」と切り出し、「いわゆるノンフィクションという従来のジャンルでいうと、たぶん私の作品は王道ではなくて」と分析。それでも選ばれたことを「書店員さんが、ノンフィクションというジャンルを広げて刷新していこうという気持ちの現われではないか」と読み解き、「私もこれに安住せず、固定概念を壊していくものを書いていきたい」と決意を新たにした。
また、発売前に書店員に読んでもらったところ、「すごい数の感想があった」と反響を回顧すると、最前列で見守っていた男性が涙。「ちょっと! 前で営業担当が泣いているんですけど!」とその様子に驚くと会場から笑いが起こり、ブレイディ氏は「本当に新潮社で熱いチームがあるんです!」とその支えに感謝しながら、「私もその感想を届けていただいて、その気になったんですよ。書店員さんに背中を押して頂いた本なので、この賞を頂けて本当に感無量です」と万感の思いを伝えていた。