P&Gは11月6日、海洋プラスチック削減の取り組みの一環として、国内の海岸で回収されたペットボトルを再利用してボトルの原料にした台所用洗剤「JOY Ocean Plastic」を数量限定で発売すると発表した。11月上旬より順次、全国の販売店の店頭に並ぶ見込み。価格はオープンで、希望小売価格は現行製品と変わらない。
JOY Ocean Plastic開発の経緯
海洋プラスチックごみによる海の汚染が深刻化している。このままでは2050年には魚の数よりも海洋プラごみの方が多くなるという報告もある。そこでP&Gでは、海洋プラごみを再生利用したJOY Ocean Plasticの開発に着手した。海を漂流し、海岸で放置された海洋プラごみは劣化の程度も様々。大量生産品の原料としては必ずしも相応しくないが、そこは製造の工夫で克服したという。なお「安全性と耐久性を担保できる最大量」として、容器の約25%にリサイクル原料を充てている。
今回の取り組みには、テラサイクル、およびボランティアの協力が欠かせなかった。長崎県において海洋プラごみ約6トン(ペットボトル20万本)を回収し、分別、粉砕、洗浄、ペレット形成、加工して、最終的に再生ボトル55万本を生産した。これは販売店が1~2か月で売り切る量だという。P&Gでは「製造コストは余計にかかったが、販売価格には上乗せしない」としている。
ほんの小さな一歩だが
P&Gジャパンのベセラ社長は、今回の取り組みを『日用品業界では日本初の試み』とアピールする。「P&Gが、1つの国の市場に提供する海洋プラごみのリサイクル製品として世界最大規模となった。リサイクルのすべてのプロセスを1国で完結したのも初めてです。このプロジェクトですべての問題を解決できるわけではありませんが、こうした活動を通して、消費者、業界の方々に何かのサインを送ることはできる。今後、海洋プラごみをどう再利用していくべきか、我々としても業界に示していく責任があると感じています」(ベセラ社長)。
「市場の反響を見て、次のステップを考えていきたい」と話すのは、P&GでJOYブランドマネージャーを務めるゾン・シャオファン氏。「消費者にとって環境問題は、必ずしも身近な問題とは言えないかも知れません。でも、日常生活に身近な台所用洗剤としてJOY Ocean Plasticを店頭で手に取ってもらうことで、少しでも『サステナブルな社会』について考えてもらえるのではないでしょうか。ほんの小さな一歩に過ぎませんが、P&Gでは引き続き、食器洗いと環境問題のストレスフリーを実現すべく、活動を続けていきます」。