JR東日本は6日、ICTなど先端技術を活用したスマートメンテナンスを導入してCBM(Condition Based Maintenance : 状態基準保全)を実現し、安全・安定輸送のさらなるレベルアップや将来の労働人口の減少を見据えた働き方改革を推進すると発表した。

  • 架線設備モニタリングシステムを導入

同社では線路に載せた高所作業車を使用し、夜間に電力係員が至近距離から架線設備の状態を確認する検査を年に1回実施している。この検査の一部省力化と品質向上を図るため、電気・軌道総合検測車(「East-i」)搭載のカメラで撮影された電線や架線金具に関して、AIを用いて自動で良否判定する架線設備モニタリングシステムを開発したという。2021年度から在来線を対象に導入し、列車本数の多い首都圏線区は営業車を使用したモニタリングも検討していく。

き電線のメンテナンスでは、電力係員が接続部のある現場へ巡回を行い、線路沿線からサーモカメラによる温度測定検査を実施している。今回、新たに接続部の温度を自動測定する無線式センサを活用した検査手法を導入することにより、作業の安全性・効率性向上と品質向上を図っていく。2019年1月から常磐線・総武線・根岸線の約4,000カ所へ導入を進めている。

  • 無線式センサを導入した、き電線のメンテナンスの新しい管理手法

信号設備にIoTセンサを設置し、センサから得られる各種データを遠隔で監視するための信号設備モニタリングシステムも導入。収集したデータはクラウドに蓄積し、指令所やタブレット端末等で必要なときに容易に閲覧できるしくみを構築する。これにより、夜間に現地で実施している検査の一部をリモートで実施し、設備故障時に現地に行かずに設備データを詳細に確認することが可能となる。今後は蓄積したデータをAIで解析することで設備の健全性を自動で診断し、故障を予測するための技術開発に挑戦する。

信号設備のうち、首都圏の電気転てつ機に転換データを蓄積する機能を付加し、そのデータをAIで解析して故障の兆候を把握した場合に、指令所等に故障予測アラームを出力する「転てつ機モニタ装置」も導入。今後は実運用による検証を通じ、故障の未然防止に取り組むとしている。