ニコン初のAPS-CミラーレスとなるニコンZマウント機「Z 50」が発表されました。11月下旬の発売に先駆けて実機を試す機会に恵まれた落合カメラマンですが、同シリーズのフルサイズ機「Z 7」「Z 6」よりも断然欲しくなってしまったそうです。
画質や撮影性能で“フルサイズZの格下感”がない
2019年の総括をするには、いささか早すぎな気がするけれど、個人的に一番インパクトがあったのはコレになりそうな気がする。
「ニコンZ 50の登場」だ。
「うわ、なんだよ、これ、全然アリじゃん!」ってのが率直な第一印象だった。使ってみて、驚いて、しまいには猛烈に欲しくなってしまった。まさかこんなコトになるなんて。人生一瞬先は闇(?)とはよくいったものですな。
ナニがいいって、まずフルサイズのZとの比較で画質にあからさまな差がないのがいい。APS-CのZ 50でも、フルサイズのZ 6やZ 7と完全相似形の「Z」のテイストそのまんまの仕上がりがちゃーんと得られるのだ。つまり、その点における「格下感」がゼロ。これ、案外大切な要素だと思う。某αなんかじゃ結構あからさまだからね。
で、最大コマ速はAF・AE追従で11コマ/秒(拡張時)と親玉たちと肩を並べるスペックを確保。ここにも格下感はない。しかも、動体に対するAFの追従性は、親玉たちよりもいいんじゃないかという上々の仕上がりだ。それが、この小さくて軽いボディで味わえる。
ボディ内手ブレ補正を省くなどの割り切りを経ての小型軽量化ではあるけれど、中級機としては十分に上質、かつ小気味の良いレリーズ感触やEVFの見えなど、レンズ交換式カメラとしての仕上がりバランスはきわめて良好だ。おかげで、ワタシのようなインスタグラマーやインフルエンサーなんてモノには縁遠い、せいぜいインフルエンザの予防接種をするのが関の山であるおっさんにとっても「使っていて楽しいカメラ」になっている。
2本のZマウント版DXレンズも好感触
それらの印象を強力に後押しすることになっているのが、キットを組むことにもなる「ZのDXレンズ」たち。「NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR」と「NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR」は、プラマウントのスカッと軽い「よくあるキットレンズ」なのだけど、これが両方ともビックリするほど良く写るんだな。描写の均質性に助けられるカタチで開放F値が躊躇なく使え、さらにAPS-C機でトップレベルにあるZ 50の超高感度画質に頼るならば、テレ端の開放F値がF6.3であるところさえも余裕のよっちゃんで許せる……この眩しいばかりのチームワークには、ZマウントとDXフォーマットの“意外な相性の良さ”を感じざるを得なかった。
ここ数年、「フルサイズをラインアップしているならAPS-Cフォーマットは不要でしょ」的な、一種キケンな思想を持つことになってたワタシなど、新生Z 50&Z DXレンズの前では、もはや赤面しつつ平身低頭のテイタラクであったのです。
ニコンが最初から「ZのDXモデル」を明確に計画していたのかどうかは分からない。でも、Z 50のリリースは大正解だと思う。そもそも「D5000」と「D5500」を愛用してきていたという下地があるからこその「Z 50惚れ」であり「Z 50推し」でもあると自分では思っているのだけど、旧来のD5000シリーズや新生Z 50が醸し出す「ちょうどよく必要十分な使い心地」って、改めて大きな魅力をたたえていると感じることになった次第。写真を撮っていてホントに楽しいのは、ジツはこういうスタンスのカメラなんだよなぁ。
著者プロフィール
落合憲弘(おちあいのりひろ)
「○○のテーマで原稿の依頼が来たんだよねぇ~」「今度○○社にインタビューにいくからさ……」「やっぱり自分で所有して使ってみないとダメっしょ!」などなどなど、新たなカメラやレンズを購入するための自分に対するイイワケを並べ続けて幾星霜。ふと、自分に騙されやすくなっている自分に気づくが、それも一興とばかりに今日も騙されたフリを続ける牡牛座のB型。2019年カメラグランプリ外部選考委員。